太洋工業 フィルム基板開発

 コンピューターに内蔵する電子基板を製造する和歌山市有本の太洋工業は、凹凸がある立体物に電気回路を密着できるフィルム基板を4月に開発した。優れた柔軟性と伸縮性が特徴で、浅井頼明研究開発部長は「体の表面など複雑な曲面にはり付けられます。医療、健康分野で、血圧や心拍数といった生態情報を取得する機器に利用できる」と話す。

 2016年、布地の上に電気回路を形成する技術を生み出し、昨年はその技術を応用し、アイロンプリントなどで様々な繊維に配線板を手軽に取り付けられるフィルム基板を開発した。

 昨年5月に医療機器メーカーから、動物実験で脳の電気信号を調べるため、皮膚につけられる回路を作れないかとの相談があった。そこで、従来のフィルム基板を弾性のある素材に変更。電気を通す銅線がなじむようフィルムに特殊な加工を施し、銅線をジャバラ状にしてフィルムの伸縮に対応させた。

 今後、開発が盛んになる複雑な動きができる多関節ロボットの配線にも使えると見込み、浅井部長は「電子基板のバリエーションを増やし、幅広い分野で活用してもらいたい」と望んでいる。

写真=医療分野での利用に期待

(ニュース和歌山/2018年5月5日更新)