こども食堂 和歌山県内25ヵ所に
行政は設備費や会場費支援

 子どもたちに無料、または安価で食事を提供する「こども食堂」が増えている。和歌山県内では2015年に1ヵ所目ができ、現在は和歌山県子ども未来課が把握しているだけで25ヵ所に。「経済的に苦しかったり、夜、子どもだけで食事を取ったりしている家庭の支援」「保護者はじめ、地域の高齢者も利用できる居場所に」など目的は様々だ。関係者は「各小学校区に1ヵ所、歩いて行ける距離にでき、子どもらが選べるようさらに広がってほしい」と期待している。

 「カレーは好き! でも野菜サラダは苦手…」「だったら、おひたしはどう?」。和歌山市中之島の橋詰鍼灸整骨院2階で第2・4水曜に開かれる中之島こども食堂。4月25日はボランティアスタッフが約50人の料理を用意し出迎えた。申し込みは必要なく、子どもは無料、大人も300円で利用できる。運営する新家貢さんは「初めての人も『ただいま』と来てください。私たちは『おかえり』と迎えます。こども〝食堂〟と言いますが、食堂ではなく、みんなの心の居場所だと思っています」と笑顔を見せる。

 県子ども未来課によると、県内25ヵ所にあり、本紙配布地域では和歌山市が12ヵ所、海南市と紀の川市が各2ヵ所、岩出市が1ヵ所。なお、全国の運営者らでつくる「こども食堂安心・安全向上委員会」が4月に発表した数字を見ると、全国では2286ヵ所にまで増えている。

 県内初のこども食堂は、15年1月に同市楠見中で始めた「子どもの生活支援ネットワーク こ・はうす」。小中学生対象で、毎週木曜に実施しており、利用は登録制だ。昨年5月からは火曜に月2回、同市松江北の河西コミュニティセンターで、おにぎり付きの無料学習支援活動「こむすび塾」も開く。

 こども食堂を支える動きも広がる。県は2年前から、一定の条件を満たした団体に対して20万円を上限に、設備の購入や改修にかかる費用の半分を支援。和歌山市や橋本市は昨年から、事業計画書を審査した上で、コミュニティセンターなど市の施設にある調理室を無料で貸している。

 海南市社会福祉協議会は昨年、場所探しや一緒に活動する仲間集め、地域にある学校へのPRなどで応援を始めた。「お年寄りも運営を手伝っている。子どもだけでなく、高齢者が活躍できる場という意味でも、地域の居場所として増やしていきたい」と語る。

 こ・はうすの馬場潔子事務局長は「『ここに居場所がある』という安心感がこども食堂の土台。増えることは子どもを見守る社会資源が増えること」と歓迎。県子ども未来課は「個人で活動していて、その居場所が突然なくなるのは子どもたちにとって不幸。海南市などの地道な取り組みを他市町村に紹介し、運営者の組織化につなげていければ」と話している。

写真=スタッフが笑顔と手作り料理で出迎える中之島こども食堂

(ニュース和歌山/2018年5月12日更新)