和歌山市鳴神にある阿弥陀寺本堂が国の重要文化財に指定される。5月18日に国の文化審議会が文部科学大臣へ答申し、数ヵ月後に決定する見込み。県内の建造物で重要文化財と国宝は83件になる。
紀州徳川家の初代藩主、頼宣が兄で二代将軍の秀忠を弔うために、1633年に建てた霊びょう。和歌山城下の大智寺にあったが、1871年に阿弥陀寺へ移築され、以来本堂として使われてきた。
寄棟造の瓦屋根で、軒下と内部の欄間にはバクや竜といった霊獣、ひめゆり、菊、かきつばたなどの植物と多様な彫刻が施され、内部は何度か塗り直されてはいるものの、朱色をベースとした彩色が残る。
県文化遺産課は「紀州徳川家が江戸時代初期に建てた霊びょうは少なく、歴史的価値が高い。将軍にふさわしく立派で、秀逸な彫刻から、当時の紀州の建築技術が優れていたことがよく分かる」と説明している。
写真=本堂軒下は緻密(ちみつ)な彫刻で飾られている
(ニュース和歌山/2018年5月26日更新)