先進的な理数教育を実践するSSH(スーパーサイエンスハイスクール)の指定を文部科学省から受けている和歌山市太田の向陽高校で5月28日、捕鯨問題をテーマにしたディベート発表会が行われた。環境科学科3年の20人が討論。指導する坂本修一教諭は「グローバル社会で海外の人と対等に話すには、自分の意見を主張する力が必要。知識だけでなく、それを生かす力を伸ばしたい」と話していた。
根拠に基づいて論理的に説明できる科学的な思考力を身につけるため、2006年からディベートに力を入れる同校。今年は、遺伝子組み換え作物の販売、商業捕鯨の再開、積極的安楽死の法的認定について、生徒が肯定、否定に分かれ、資料集めや議論の進め方を話し合っている。
この日は2、3年生約150人を前に意見をぶつけ合った。肯定派は「捕鯨に関連する伝統行事など文化を守る」「人口増加が続く世界で貴重なタンパク源になる」と主張した。これに対し否定派は「調査捕鯨でも文化は守れる」と反論。さらに鯨肉の消費量が商業捕鯨の一時停止が決まる1982年以前から減少傾向だったデータを示し、「国内は人口が減少し、捕鯨に否定的な海外でも需要があるでしょうか」と語った。肯定派は「将来、世界的な食糧難に陥った時、食糧自給率が低い日本は苦しくなる。鯨肉はその解決策の一つになる」と食い下がった。
最後に生徒全員で判定したところ、肯定派が89人、否定派が62人に。肯定派で主張した磯合竜弥さんは「相手の方が用意したデータが多く手強かった」と讃え、否定派の川端佑衣里さんは「和歌山県民で捕鯨には否定的ではなかったので、デメリットを考えるのに苦労しましたが、相手が突いてくる点が予想できました」を笑顔を見せていた。
写真=商業捕鯨賛成と反対に分かれ、意見をぶつけ合った
(ニュース和歌山/2018年6月2日更新)