すり足や歌教わる

 能の体験ワークショップが5月29日、和歌山市今福の今福小学校で開かれ、全校児童178人が日本の伝統芸能に触れた。指導した能楽師の林本大(だい)さんは「古くさいと思われがちな文化も、残されてきたのには意味がある。人生の糧になると思って勉強し、将来の担い手になってもらえれば」と望んでいる。

 文化庁の「文化芸術による子供の育成事業」で10月に大阪府の山本能楽堂が同校で公演する。今回、公演をより楽しめるよう能について深く理解してもらおうと演者5人が来校した。

 まず、能の歴史や動きの意味を林本さんから聞き、すり足を体験。「背筋を伸ばし、まっすぐ前を見て」とアドバイスを受けながら緊張の面持ちでゆっくり歩いた。次に演者が能形式で歌った同校の校歌を披露すると、4年の岡本奈桜(なお)さんは「お坊さんのような声で歌うのが印象的でした」と笑顔を見せた。

 この後、能作品の一つ「羽衣」の一節を全員で歌う体験をし、小面や般若の面の特徴、衣装について学んだ。4年の大藤剣聖くんは「若い女性の顔など面ごとに世代があり、少しずつ違うと知りました。公演で注目したい」と喜んでいた。

写真=般若の面を間近に見て驚く児童たち

(ニュース和歌山/2018年6月9日更新)