書家の北原美麗さん ぶらくり丁25店に作品
文字で和歌山活性化を目指そうと、和歌山市の書家、北原美麗さんが5月、ぶらくり丁商店街の25店へ、各店にちなんだ一文字の書作品を贈った。「店主の思いや店の歴史といった物語を込めました。個性あふれる各店の文字を見て回り、店主とのコミュニケーションを楽しんで」と望んでいる。
ぶらくり丁で幼少期を過ごした北原さんは、書道教室を構えるかたわら、作品展への出品や書道パフォーマンスなどで活躍する。2015年にはパソコンの字体を扱うモリサワから美麗流「錦麗行書」が製品化された。
今回、「あなたの文字プロジェクト」と題し、個人や企業のキーワードを書作品にすることで街おこしを図る。第1弾を、思い入れのあるぶらくり丁で企画し、各店に一文字を決めてもらった。
美しくなりたいとの女性の願望を叶える化粧品店は「希」、色とりどりの服に生まれ変わる布を扱う服地屋は「彩」、思い出の味を求めて客が訪れる老舗パン店は「懐」など、25作品が完成した。字の大きさや色、書体、装飾に工夫をこらし、各店の個性に合わせた表現を心がけた。
番茶屋の店主、木村圭一さんは「全」を選んだ。「『飽きたら次へ』のように最近の社会は、過去、現在、未来と貫き通すことが減っているように感じる。全てを貫くという意味で『全』を昔から大切にしてきました」と強調する。
今後、企業や自治体、他地域の書家とのコラボレーションで、文字を通じた地域活性化を目指す。北原さんは「手書きならではの迫力や味わいを生かした活動。文字で和歌山を他府県に発信し、様々な場面で書作品が生かされた街になれば」と話している。
写真=「文字で街の活性化を」と北原さん(左)
(ニュース和歌山/2018年6月9日更新)