キャンプ、ハイキング、農作業と山や草むらで活動する機会が増える季節、ダニにご注意を──。春から秋にかけて活発化するマダニの活動が夏に本格化する。感染症者は近年、全国で増加し、他府県では死者が出ている。和歌山県健康推進課は「ダニを無理に引き抜くと歯が刺さったまま残ってしまうため、皮膚科などの医療機関で処置してもらうのが望ましい。早めの対処が重要」と呼びかけている。

かまれると死亡リスクも

 直径約0・5㌢、吸血後は約3倍の1・5㌢に身体が膨らむマダニ。森林や草むらに生息するが、タヌキやイタチなど野生動物に付いて移動し、住宅街の草地で見つかることもある。西日本を中心に日本紅斑(こうはん)熱や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)といったマダニによる感染症が報告されている。全国の紅斑熱患者は2013年の175人から昨年は337人、SFTSは48人から90人に。県内でも紅斑熱が18人から51人、SFTSも0人から3人に増えた。

 紅斑熱は2~8日の潜伏期間後、頭痛、発熱、発疹といった症状が現れる。SFTSは致死率約20%と危険で、特に50代以上で死者が出ており、6日〜2週間潜伏後、発熱や下痢のほか、意識障害や失語などの神経症状をきたす場合も。いずれも5月から患者が増え始め、紅斑熱は10月、SFTSは6月にピークを迎える。

 かまれないために、長袖、長ズボンで、帽子、手袋、首にタオルを巻くなど肌の露出を減らすことが重要だ。虫除けスプレーも有効で、明るい色の服だとマダニを見つけやすくなる。同課は「上着や作業着を家の中に持ち込まず、野外活動後は入浴し、頭部やわきの下、足の付け根、手首、ひざの裏などがかまれていないかを確認してほしい」と話している。

写真上=夏に向け、予防の徹底を促す県、同下=マダニ(国立感染症研究所提供)

(ニュース和歌山/2018年6月27日更新)