地方の集落再生について研究しようと、東京大学生産技術研究所は6月30日、和歌山市加太に地域ラボを開設した。常駐する青木佳子特任助教が住民や行政と協力し、地域課題の解決法を探る。青木特任助教は「地元の声を聞き、研究を進め、他地域に応用できる再生モデルをつくりたい。昔の写真や記録を集めた資料館としても活用します」と意気込む。
同研究所の川添善行研究室(建築設計学)は2014年から加太で、街並みの調査や、学生と住民がまちづくりについて話し合うワークショップを実施してきた。今年4月に青木特任助教が同地区で住み始め、地域ラボ開設に向けて準備。研究者が常駐する拠点を設けることで、少子高齢化や買い物難といった問題に生活者目線で向き合う。
ラボは漁具が入っていた蔵を改装。35平方㍍の室内に、建具をリメイクした机や資料棚があり、定住者増や観光資源などについて研究するほか、住民や行政関係者を交えたまちづくりの会議、授業で街並みの見学に来た学生らに解説する教育の場として利用する。年度内には向かいの古民家でカフェを開く考えだ。
青木特任助教は「例えば、リヤカーで魚を売り歩くおばあさんと移動スーパーが来る時間、場所を同じにすれば、小さなマーケットが生まれる。こうした実践を積み重ね、住みよい地域の姿を具体化させていく」と描いている。
写真=地域ラボには青木特任助教が常駐する
(ニュース和歌山/2018年7月11日更新)