高校の美術教員12人が7月23日、岩出市根来の民俗資料館で根来寺根来塗を体験した。指導した塗師の池ノ上曙山さんは「さすが美術の先生で、皆さん塗るのが上手。この経験を生徒に伝えてもらい、和歌山の子ならだれもが根来塗を知っているようになれば」と願っていた。
3年後の総文祭見据え
主催した和歌山県高校美術・工芸教育研究会は毎年、講演や実習を通じ、美術教材の研究、指導技術の向上に取り組んでいる。2021年に「文化系クラブのインターハイ」と呼ばれる全国高校総合文化祭が和歌山で開かれる際、地元文化を体験して県内外の高校生が交流するため、地域の伝統工芸を学ぼうと企画した。
まず、豊臣秀吉の紀州征伐以来途絶えていた根来塗を、池ノ上さんとその師、河田貞さんが復興させた歴史、漆器の特徴、工程などを聞いた。次に、朱色の本漆で塗りを体験。「ゆっくり、薄く塗るのがコツ。厚く塗るとムラが出ます」とアドバイスを受け、はけの角度や動かす速さに気を使いながら丁寧に仕上げた。
和歌山商業の岩田邦男教諭は「油絵とは違う漆独特の粘りがあり、はけ遣いも違った。美術部の生徒で関心ある子に教え、工房を紹介したい」と笑顔を見せていた。
写真=池ノ上さん(左から2人目)が細かく指導
(ニュース和歌山/2018年7月28日更新)