海南市の古代~現代史を一冊にまとめた『私本・海南市の歴史』を6月、和歌山県観光ガイド専門員の紀州語り部、芝村勉さん(85)が自費出版した。半世紀近くにわたり新聞や市報から切り抜いてきた記事をもとに編集。「自分の生まれた場所の歴史を知るのは大切。ふるさとを学ぶ手がかりに」とほほえむ。

紀州語り部 芝村勉さん発行

 1976年から熊野古道を歩き、紀行文をまとめた『熊野古道~古道を歩くためのガイドブック』を81年に出版した。現在は地元の海南や和歌浦などを案内して回る。

 72年に朝日新聞の連載「紀の国100人」と「紀州新百景」をスクラップしたのを皮切りに、全国紙や地方紙、市報などから和歌山の情報を切り抜き、保管してきた。中に、ふるさと教育やまちづくりに活用できる海南の歴史を伝える記事がたくさんあり、残そうと一冊にした。

 神武天皇や万葉集の古代に始まり、海南での浄土真宗の動きや大野城の記事などをまとめた中世、亀池を造った井沢弥惣兵衛、黒江の塩田といった近世と続く。各所で自身が歩いて調べた経験をもとにした考察も加えた。また、現代の章では46年の昭和南海地震にふれ、日方小学校の百年史から体験記を引用。市内の各寺社や地蔵尊の記事も網羅している。

 B4判、271㌻。1080円。同市名高の福岡書店で販売。芝村さん(073・482・5090)。

(ニュース和歌山/2018年7月28日更新)