空海が開いた海南市下津町橘本の福勝寺から、菓子の神様、田道間守(たぢまもり)をまつる同地区の橘本神社まで、熊野古道を花嫁行列する結婚式が10月7日(日)に行われる。進行や着付け、小物作りと住民が準備を進めており、主催する紀州加茂谷たちばなの会の中西恒雄代表は「神社と寺で御利益を授かってもらい、2人の門出を祝いたい」と笑顔を見せる。
10月 熊野古道で花嫁行列
九十九王子の一つ、橘本王子がふもとにある福勝寺と、所坂王子跡の橘本神社。田道間守が海外から持ち帰った橘の木を最初に植えた旧社地が寺近くにあり、かかわりの深い寺社が共同で結婚式を行い、まちおこしにつなげようと企画した。
7日は、寺で午前10時に空海が旅の安全を願った観音の加護を授かる儀式の後、平安衣装を身にまとった新郎新婦らが神社までの約800㍍を練り歩き、神式の結婚式を挙げる。浦弘晴住職は「ご神体となる滝がきっかけで寺ができ、もともと神と仏が共存している土地柄。儀式で2人に目に見えないものを感じてほしい」。前山和範宮司は「古(いにしえ)の道を歩くことに意義がある。寺社で2人の架け橋になります」と語る。
行列は同市で10月に行う「かいなんお菓子まつり」月間の催しの一つとして公開。新郎の土井陽平さんは「思い出に残るにぎやかな式にしたい。『自分もここで挙げたい』と思ってもらえるとうれしい」とほほ笑む。同会は今後も式を受ける計画で、中西さんは「結婚式を挙げていないシニアや、他県の人にも挙げてほしい。まちの宝を後世へ残すことにつながれば」と願っている。
同会(073・492・4300)。
写真=平安衣装を身につけた土井さん夫婦(中央)