美しい棚田が広がる紀美野町三尾川。棚田のふもとにある小高い丘を登ると、四季の草花に包まれた庭に、鳥の巣の形をした家やガラス張りのツリーハウスが並ぶ絵本の中のような世界が広がる。舞台照明デザイナーの山口アキラさんが手づくりした空間で、11月1日(木)~3日(土)、初の芸術祭「ラ・コリーヌ テアトル」を開く。
紀美野町 山口アキラさんら企画
東京や横浜で30年以上、舞台の仕事に携わった山口さんは、三尾川の眺望と丘がもつ神聖な雰囲気にひかれ、2011年に土地を購入。「心地良いものに囲まれていたい」とここを拠点に自然素材や廃材で家を手づくりしながら、デザイナーとして全国を飛び回る。
土のうを積み、土で固めたドーム型の家や屋根に無数の小枝を飾った鳥の巣のような家、廃材の窓ガラスをパッチワークのように張り合わせて木の上に建てた小屋と、7年で8棟を手掛けた。「建築ではなく、舞台づくり。どれも一つの作品です」。丘を「デュニヤマヒル」と名付け、旅行客らに貸すほか、上映会や音楽ライブを開いている。
同町の住民15人で企画した芸術祭は、廃材でつくった三角形の劇場が完成したのを記念し開催。高さ、横幅各5㍍で、立体的に見えるよう奥に行くほど狭くなる遠近法を取り入れた。ここで県内外のアーティストが民族楽器やチェロの演奏、舞踊を披露するほか、各棟に刺しゅうや絵画、草木の造形作品を展示する。「芸術にふれると心が動く。みなさんの生活のスパイスになれば」
午後1時~8時。1日2000円、中高生1000円(当日各500円増)、小学生以下無料。詳細はラ・コリーヌテアトルHP。
写真=土やガラスを使った山口さん自作の家々が並ぶ
(ニュース和歌山/2018年10月10日更新)