スポーツ、文化、ボランティア活動など、様々な分野で2018年の紙面を飾ってくれた方々から、大賞に輝く９組を編集部が選びました。さらなる活躍に期待し、ここで発表させていただきます！
石ノ森章太郎の原画寄贈 カルチャー賞 大瀬克幸さん
『サイボーグ００９』や仮面ライダーシリーズを手がけた漫画家、石ノ森章太郎の元アシスタント、紀美野町の大瀬克幸さんが３月、宮城県石巻市の石ノ森萬画館へ貴重な原画や同人誌『墨汁一滴』を贈りました。５０年前、石ノ森から譲り受けたもので、「震災からの復興の力になれば」と寄贈。１〜２月に和歌山市で展示し、７月には石巻市でトークを披露しました。
誤嚥防止にボトル開発 発明賞 笠原直樹さん
食べ物が気管に入り込む誤嚥（ごえん）を防ぐため、和歌山市の歯科医、笠原直樹さん（写真左）が飲み込む力をつけるトレーニングボトル「タン練くん」を開発、９月に発売しました。誤嚥による咳き込みから肺炎を引き起こし、命を落とす高齢者を見てきた経験から、舌の筋力を鍛えれば誤嚥を防げると考えました。舌を前後に動かさないとうまく吸えず、日常の飲む動作の中で鍛えられるボトルを生み出しました。
スケボー世界選手権 初代女王 スポーツ賞 四十住さくらさん
スケートボード・パーク種目初の世界選手権が１１月、中国・南京で開催され、岩出市の四十住（よそずみ）さくら選手（伊都中央高校２年）が女子部門の頂点に立ちました。パークとは椀を組み合わせたような湾曲した複雑なコースで技を競う種目です。本格的に取り組みまだ４年ながら、５月の日本選手権、８月のアジア大会でも優勝。見据えるのは２年後、初めて正式競技に採用される東京オリンピックです。
タイで象使いとして生きる グローバル賞 大亦理絵さん
タイ北部の山間部で首長族の男性と結婚した和歌山市出身の大亦理絵さんが２月、現地で象とふれあえるエレファントキャンプ立ち上げに向け、法人を設立しました。フォトグラファーとして世界各地で活躍し、タイで古くから象と人が築いてきた文化や絆に魅了されて以来、象使いとして訓練を受けました。自らのキャンプから生き物と人の在り方を発信し、「将来は象が描いた絵の展示会を日本で開きたい」と意気込みます。
写真＝パートナーの象と一緒に
牡蠣養殖 塩津に活気 地域おこし賞 阿部立利さん
過疎化が進む海南市下津町塩津の塩津漁港で９月、移住者の阿部立利さんが牡蠣（かき）の養殖を始めました。２年がかりで水質や水温のデータを取り、広島や宮城など産地を渡り歩いて独学で研究。とれたてを味わえる「港の牡蠣小屋」を１１月、漁港にオープンさせ、地元の漁師や地域おこし協力隊らとともに、再び漁港に元気をもたらそうと奮闘しています。「塩津に未来を」。その情熱に地域おこし賞を贈ります。
写真＝今秋から養殖に取り組む阿部さん
使わない食器橋渡し エコ賞 前田知己さん
使わなくなった食器を集め、ほしい人が無料で持ち帰る「もったいない食器市」が盛況です。屋形大通り商店街で雑貨と喫茶の店を営む前田知己さんが発起人となり始まった取り組みです。商店街に回収ボックスを置き、集まった食器を整備して並べ、３月に初開催しました。好評だったことから、定期的に行われるように。物を捨てず、大切に扱うリユースの輪を広げています。
勇気届ける似顔絵 チャレンジ賞 橋本己容子さん
両手が不自由ながら、足の指で鉛筆を巧みに操って似顔絵を描く紀の川市の橋本己容子さんがチャレンジ賞です。脳性小児まひで幼いころから言葉と両手に障害がありつつも夫の死を乗り越えて、２人の息子を育て上げました。今年４月から障害者や高齢者向けのデイサービスへ通いはじめ、利用者の似顔絵を描くように。周囲は「懸命に描く姿に生きる勇気がもらえる」と励まされています。
笑顔満開 車いす着付け 華やか賞 宇治田いさ子さん
車いすに座った障害者や高齢者に着物を着せる「福祉車いす着付師」の資格を取得し、着付けする和歌山市の宇治田いさ子さんが華やか賞に輝きました。障害者グループのファッションショーなどで着付けし、車いすの人たちを華やかな着物姿と笑顔に変身させています。「『車いすでも着物が着られた』との経験を自信にし、色んなことをあきらめないで」と願っています。
写真＝着付師の宇治田さん（右）
呼び上げ地蔵の伝承再現 防災賞 上神田地区自治会
１８５４年の安政の大地震で、不思議な光を放ち、津波から逃げる人々を高台の汐見峠へと導いたと伝わる海南市井田の呼び上げ地蔵。この言い伝えを再現する避難訓練を７月、地蔵がある上神田地区の自治会が実施しました。住民約３０人がライトを手に、後から坂を駆け上がって避難する人たちを峠まで呼び上げました。地域の伝承を伝え、命を守る活動に防災賞です。
（ニュース和歌山／2018年12月22日更新）
