令和時代の幕開けを祝い、和歌山市金谷にある小倉神社の氏子3人が鳥居24基を手作りし、5月1日に境内の稲荷神社へ続く参道へ設置した。メンバーの1人、福田誠造さん(71)は「過疎の影響で見る影もない神社を旅先で見てきた。鳥居をきっかけに、祀られている皮膚病の神様や今も残る200㍍の馬場など、小倉神社の魅力を知ってもらえれば」と目を細める。
小倉神社 有志手作りの24基
1000年以上の歴史があり、江戸時代の地誌書『紀伊国名所図会』にも登場する同神社。近隣住民の高齢化や若い世代の流出で氏子が減少する中、今回鳥居を贈った福田誠造さん、福田安孝さん(70)、山崎福雄さん(70)が5年前に「小倉神社を守る会」を結成し、台風による倒木の片付けや建物の修繕などを続けてきた。
鳥居は、明樂(あきら)武宮司(76)を含む4人で山口県の元乃隅神社へ旅行した際、無数に並ぶ鳥居を見た山崎さんが「素朴で、自分たちにも作れるのではないか」と提案。神社庁から改元に合わせた取り組みをするよう神社に通達が届いていたこともあり、守る会で作ることにした。
3人とも日曜大工程度の経験しかなかったが、近くの山で所有者の了解を得てスギやヒノキを切り出し、樹皮をむいて、専用のペンキで朱色に塗って鳥居の形に組み上げた。「自然林の木なので、反っていたり、太さや長さが足りなかったり。同じサイズの木を探しに何度も山へ入りました」と福田安孝さん。約半年かけて、30㍍の参道に約1㍍間隔でコンクリート製の基礎を造り、鳥居を建てた。
明樂宮司は「参拝者が減る中、地元の人がこうして力になってくれるのはありがたい。並んだ鳥居は写真映えし、名所になる」と喜んでいる。
写真=30㍍の参道に手作りの鳥居が並ぶ
(ニュース和歌山/2019年5月22日更新)