紀州の和菓子と文化を考える会が、和歌山県内18種類の玉子せんべいの特徴や歴史をまとめた『紀州の玉子せんべいずかん』を作成し、6月1日から配布している。山本智子事務局長は「好みの変化や職人の高齢化により、製造をやめてしまう店もあります。お菓子が消えることは、その道具や技術といった文化が消えること。冊子を参考に買いに行ってほしい」と期待を込めている。

紀州の和菓子と文化を考える会 18種類を一冊に

 卵、小麦粉、砂糖、はちみつ、膨張材で作る玉子せんべい。江戸時代後期に書かれた総本家駿河屋の菓子の見本帳には、「卵せんべい」の文字と絵が記されており、その後、明治や昭和の観光ブームで名所旧跡にちなんだ様々な種類が生まれた。2年前からメンバーが手分けして和歌山県内の和菓子店を訪ね、取材を重ねてきた。

 店によって焼き印や食感が異なる和歌浦せんべいをはじめ、安珍清姫伝説を描いた清姫せんべい、弁慶せんべい、熊野名所せんべいを実物大の写真で紹介。既に製造されていない4種類を含む18種類をまとめた。

 県外から来たメンバーの山田淳子さんは「観光名所を焼き印にしたせんべいの多さに驚きました。おいしさと歴史、両方の魅力を味わってみて」と話す。

 A5判、15㌻。無料。わかちか広場、南海和歌山市駅ほかで配布。郵送希望者は120円切手を貼った返信用封筒を同封し、〒640・8215和歌山市橋丁23、N4ビル1階、市民の力わかやまへ。同会(073・428・2688)。

写真=取材時のエピソードを語り合うメンバー

(ニュース和歌山/2019年6月12日更新)