和歌山県は、和歌山にすむ外来種を「和歌山県の外来種リスト」にまとめ公表した。生息状況だけでなく、外来種が生態系に及ぼす影響の評価と対応に向けた基準を設定。県自然環境室は「外来生物すべてに害があるわけではない。正しい認識への一歩になれば」と望んでいる。
国は外来種被害対策として都道府県に2020年までに行動計画策定を求めている。県は16年に策定した生物多様性和歌山戦略で、基本戦略の一つに外来種への対応をあげ、まず県内外来種のリスト化を行った。
外来種を「明治以降に人間活動で侵入、導入され、県内で確認された原産地が県外の種」と大きく定義し、ほ乳類や鳥類、魚類、昆虫と9類に分け、生息を調べた。
リストは全615種で、ほ乳類7、鳥類5、は虫類4、両生類3、魚類61、昆虫類138、貝類20、無せきつい動物28、植物349種。これら一つひとつの定着状況、生態系への被害などを評価し、防除対策のある「防除対策外来種」、対策が未確定の「重点啓発外来種」、アユやビワなど外来種ながら産業利用が定着した「産業利用外来種」と分類した。
ほ乳類ではアメリカ原産のアライグマが県全域で爆発的に広がり、被害が深いのをはじめ、は虫類ではミシシッピアカミミガメ、凶暴なワニガメが重点啓発種に。両生類では田辺市、白浜町のため池にすむアフリカツメガエルの繁殖が深刻で、被害防止例として田辺高校・中学校生物部の駆除活動を紹介した。
外来種は、カワラバトやコイのように見慣れたものから、古座川のオオサンショウウオのように県外産ながら特別天然記念物に指定されているものなどあり方は多様。県自然環境室は「『生息地でない所にいれない、ペットを捨てない、分布域を広げない』が基本。予防活動が大切です」と力を込める。
リストは配布するほか、和歌山県自然環境室HPでダウンロード可。同室(073・441・2779)。
(ニュース和歌山/2019年7月6日更新)