初の着付師養成講座

 車いすに乗る障害者や高齢者に座ったまま着物を着せる「福祉車いす着付師」の養成講座が7月29日と30日、和歌山市で初めて開かれた。主催する日本理美容福祉協会和歌山南紀センターの石川真樹代表は「成人式や表彰式など様々なシーンで着物をあきらめずに着られるよう、和歌山で広めたい」と話している。

 福祉車いす着付けは、着物に細工をせず、身体に負担がないよう短時間で着付ける技術で、同協会が全国で講座を開く。今回は和歌山で講師資格を持つ石川代表と宇治田いさ子さんが講師となり、福祉や理美容関係者ら35人に教えた。

 まずは車いすの扱い方について説明した後、装着前に帯をあらかじめ結んで用意しておく方法や、大切な着物を汚さないよう、車輪にカバーをかける心遣い、車いすに着物とじゅばんを置き、その上に座ってもらう着せ方を伝えた。

 「着付けの際は背中に丸めたタオルを挟んですきまをつくって」「ヒモは使わずゴムにすると互いに楽です」とアドバイスすると、会場からは「なるほど」と声が漏れた。最後に受講者が2人1組なり、互いに着せ合った。

 美容師の長瀧谷さよ子さんは「仕事で着付けもしており、いつか学びたいと思っていた。ゴムの締め加減や着物の体への沿わせ方など、自分が着てみてよく分かりました」と喜んでいた。

(ニュース和歌山/2019年8月10日更新)