子育て中の母親が子どもと一緒に出勤し、調理の仕事をしながら同じ部屋で過ごせる「襷(たすき)食堂」を、和歌山市で飲食店を経営する奥畑公康さん(写真)が9月15日㊐(予定)、同市十二番丁に開く。同日までインターネットのクラウドファンディングで出資者を募っており、「働きたくても子どもの預け先がなく、仕事を制限されるお母さんたちの働き方改革が必要。預けずに働ける職場をつくりたい」と力を込める。

奥畑公康さん 働き方改革に一役

 同市で飲食店4店を経営する奥畑さんは、5年前ほどから深刻な人手不足に直面してきた。一方、同市の働いていない母親を対象にNPOが行ったアンケートで、121人中90人、74%に働く意志があることが分かった。子育て中の母親が安心して働ける環境を整えれば、人員確保できると考え、食堂のオープンを決めた。

 約5坪の客席の奥にキッズスペースを兼ねた調理場を配置。母親は子どもたちと同室で仕事をする。保育者はつかず、従業員同士で子どもの世話をし合う。安全に仕事ができるようオール電化にし、キッチンに子どもが入らないよう簡易扉をつけた。食堂はふらっと1人で立ち寄れ、肉じゃがや煮魚など、家庭の味を大事にする。

 奥畑さんは「年金受給者世代の雇用も行う予定で、この食堂で0~80歳のコミュニティが生まれる。世代から世代へ思いをつなげる『たすき』と働く母の決意を込めて締める『たすき』の両方の思いで『襷食堂』と名付けた。地元が抱える問題を解決できると信じています」と話す。

 クラウドファンディング「襷食堂」。

(ニュース和歌山/2019年8月24日更新)