和工生ら外国人90人へ
世界約120の国と地域から博物館関係者が集まった国際博物館会議が9月1~7日、京都で開かれ、5日には約90人が和歌山を訪れた。和歌山県内各施設の文化財保存活動や教育普及活動を視察し、和歌山市吹上の県立博物館では和歌山工業高校の生徒が、3Dプリンターを使った仏像レプリカの作成を実演した。
一行は紀伊風土記の丘で古墳や移築民家を見学し、同市内で「世界津波の日」高校生サミットに携わった高校生の取り組みを聞いた。県立博物館と近代美術館では、同市立博物館が老舗菓子店、駿河屋の資料保全、県立自然博物館が移動水族館を使った教育などについて発表した。
和工生は、盗難や災害から文化財を守るために取り組んでいるレプリカの作成を英語で説明。仏像の形を専用の機械で計測し、測れなかった部分をパソコンを使って手作業で修正した。また、完成したレプリカを寺に奉納したところ、住職から「高校生達の心が伝わる、心ある仏像」と喜ばれていることも紹介した。
和工3年の井上亜優さんは「和歌山の自分たちの活動を世界に知ってもらう貴重な機会になった。海外にも仏像があるはずなので広がってほしい」、イスラエルから訪れた博物館の教育専門家、エリノール・マルチさんは「イスラエルでも遺跡からの盗難がある。文化財の保存に、博物館が学校を巻き込んで若い世代と共に取り組むのは良いアイデアだ」と感心していた。
(ニュース和歌山/2019年9月14日更新)