わかやま寅さん会が主催した新作『男はつらいよ50 おかえり寅さん』の先行上映会が11月23日、和歌山市松江のジストシネマで開かれ、800人が集まった。山田洋次監督(写真中央)と同市出身の照明技師、土山正人さん(同右)が舞台あいさつに登場。山田監督は「最新作の先行上映を和歌山でできてうれしい。わかやま寅さん会は毎回強固な応援をしてくれる。映画を作る力になっています」と感謝を伝えた。
寅さん会の熱意実り先行上映
同会は、山田監督の大ファンで30年以上の交流がある西本三平さん(同左)が2013年に立ち上げた。映画『男はつらいよ』に登場する人情あふれるまちを目指し、改めてシリーズ49作を上映しようと企画している。西本さんは「旧作の上映を目指していたが、監督から『新作を持って和歌山へ行く』と言われ、鳥肌がたった」と話す。
最新作の照明は和歌山工業高校出身で、山田監督からオファーを受けた土山さんが担当。4Kデジタル技術で修復された過去の名場面と、新しく撮った映像が交互に登場するため、質感や色調を違和感なく合わせる必要があった。そこで1986年公開の37作目からスタッフとして参加する土山さんが照明づくりの責任者として指名された。「映画が好きで、学生時代はぶらくり丁の築映でアルバイトをしていた。先輩の明かりを受け継ぎ、照明人生をかけた作品です」と力を込める。
上映会には山田監督の希望で地元高校生40人が参加し、意見交換を行った。高校生が「寅さんはどんな人ですか」と聞くと「頼りなく迷惑ばかりをかけるが、生き方については的確な答えや哲学を持っている人。人間には色んな型がある。映画を通して人を見る目をふくらましてほしい」と呼びかけた。
一般公開は12月27日㊎。
(ニュース和歌山/2019年11月30日更新)