平成最後、そして令和最初の年も、情熱あふれる多くの皆様に紙面を彩っていただきました。そんな中から、編集部が9組を選び、ますますのご活躍を祈って、「ニュース和歌山大賞」を贈ります。

 

伝統賞 小林慶三さん〜能楽 観諷会が創立100年

 能楽の魅力を和歌山へ伝えようと、小林憲太郎さん、慶三さん親子2代で率いてきた「小林観諷会」が4月、創立100年を記念する公演を行い、舞や謡を披露しました。会は1920年、兵庫県出身の憲太郎さんが観世流の会として和歌山で立ち上げ、戦後、最も多い時に会員は80人を超えました。近年、若い人が伝統文化に触れる機会が減る中、小学校や大学で能を伝え続ける慶三さん。その情熱に伝統賞です。

 

スポーツ賞 甲斐穂澄くん〜小6でスケボープロ資格

 野崎西小学校6年の甲斐穂澄選手が10月に静岡県で開かれた全日本アマチュア・スケートボード選手権で準優勝。8位以内に与えられるプロ資格をつかみ取りました。保育園年中で始め、本格的に取り組むようになった小学3年からは、泉南にある練習場まで毎日一人、電車で通い、技を磨き続けてきました。「将来は世界の大会で活躍したいし、2024年のパリ五輪は金メダルを取りたい」と大きな夢を描いています。

 

スポーツ賞 桐蔭中陸上部〜女子リレー 中学日本新

 8月の全国中学校陸上競技選手権大会、女子4×100㍍リレーで、桐蔭中学校の岡稚奈選手、稲荷未来選手、藤木志保選手、福井有香選手が47・04秒の中学日本新記録を打ち立て優勝しました。5月のチーム結成から、走力アップ、走順の変更、バトンパスでの歩数調整など練習と工夫を重ね、当初50秒台だった記録を、わずか4ヵ月で3秒以上縮めました。この種目の日本記録更新は実に10年ぶりです。

 

ボランティア賞 塚﨑かおりさん〜毎週水曜におはなし会

 今春、愛知県から和歌山市に引っ越してきた主婦の塚﨑かおりさんが毎週水曜日、「たねはな文庫」と題し、和歌山市西汀丁の汀公園で本を並べておはなし会を開いています。5月末に始めたところ、インターネットや口コミで輪が広がり、毎回、母親と子ども30人が集まるようになりました。「本を通してたくさんの知り合いが増えました。子どもと大人の心地よい居場所になってほしい」と願っています。

写真=青空の下、汀公園が会場

 

発明賞 木下伸之さん〜世界初 麦麹ビール

 麦芽を使わず、麦麹(むぎこうじ)を材料にしたクラフトビールを、和歌山市舟大工町で醸造所オリゼーブルーイングを営む木下伸之さんが7月、世界で初めて造りました。日本古来の醸造技術とビール製造の技術を融合し、今までにない酒を実現。日本酒のふくよかな味わいと、ビールが持つのど越しや飲みやすさで、どんな料理にも合うと評判です。発酵の可能性を追求する木下さんが発明賞です。

写真=自慢の酒を吟味する木下さん

 

福祉賞 前田香さん〜発達障害児 服の悩み解決

 発達障害児が抱える服の悩みに寄り添うコンシェルジュ活動「fukufuku312」を展開する和歌山市の前田香さんに福祉賞を贈ります。脱ぎ着がしやすいよう、伸縮性のある生地を使って腕周りを大きくとったり、すそにワッペンをつけて、前後の分かりやすいデザインにしたりと、工夫を重ねた服を提案。また、一人で着替えられない子への練習方法をHPで紹介しており、親子の負担を減らそうと働きかけています。

 

地域安全賞 脇村清也さん〜身近な防災アイテム広め

 パラシュートに使われるぐらい丈夫なひも、パラコード。これを編んでブレスレットにし、日ごろから身につけて万が一に備えようと、海南市の脇村清也さんが今春から編み方講習会を各地で開いて普及に取り組んでいます。ほどくと2㍍ほどのひもになり、けが人がいる際は止血に使え、避難所でロープ代わりに張ってカーテンを掛ければ目隠しになるなど、多様な利用方法がある防災グッズ。同市を中心に広まり、地域の防災力向上に一役買っています。

 

働き方改革賞 奥畑公康さん〜仕事したいお母さん応援

 子育て中の母親が子どもと一緒に出勤し、調理場で見守りながら仕事ができる襷(たすき)食堂が10月、和歌山市十二番丁にオープンしました。「働きたくても預け先がなく、仕事を制限されるお母さんたちの働き方改革が必要」と、同市で飲食店を経営する奥畑公康さんが開きました。インターネットで資金を募るクラウドファンディングでは全国から約200万円を集めました。保育者はつけず、従業員同士で子どもの世話をし合っています。

 

新文化賞 和歌山eスポーツ協会〜ゲームで地域活性化目指す

 パソコンやテレビのゲームで対戦し、スポーツとして楽しむeスポーツで地元を盛り上げようと、和歌山eスポーツ協会が4月に発足しました。10月に初めての主催イベントとなる、パズルゲームを使った催しを開催。また、協会所属チーム、スパブゲーミングスはシンガポールで10月に開かれた格闘ゲームのアジア大会で準優勝、国内の大会でも多数上位に入っています。近い将来、世界の頂点に立つプロプレーヤーが和歌山から生まれるかもしれません。

(ニュース和歌山/2019年12月21日更新)