2020年和歌山市の顔、中心市街地は大きく変化します。南海和歌山市駅がリニューアルし、にぎわいのキースポットに生まれ変わります。このほか暮らしに子育てにと様々な新拠点が続々。その誕生を前に、まちなかの新しい鼓動を感じてみましょう。(〇内の番号は地図上の位置)
①キーノ和歌山 玄関口 市駅が今春一新
和歌山市の玄関口となる南海和歌山市駅が一新される(写真上)。駅ビルを中心とした複合施設「キーノ和歌山」が4月下旬にグランドオープンする。
商業ゾーン、ホテル、公益施設棟、そしてすでに完成しているオフィス棟と駐車場棟からなるキーノ和歌山。「紀の国」から取った「キーノ」には、新たな扉を開く「キー」(鍵)にとの思いが込められている。
商業ゾーン1階は食料品スーパーマーケット、ロックスターファームズが入る(写真下)。野菜、肉、魚、そうざいなどの専門店が並ぶほか、「Wakayamaこだわり再発見」をコンセプトにした産地直送ブースを設ける。2階はレストランフロアで、和食、イタリアン、焼き肉、海鮮居酒屋、カフェほかがそろう。
ホテル棟にはカンデオホテルズ和歌山(仮称)が出店。客室数は120で、最上階の12階には紀の川を一望できる露天風呂付き大浴場を設ける。
公益施設棟には和歌山市民図書館が移転する。TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブが市の指定を受けて運営。2階は料理、健康、趣味など身近な資料や小説、3階に専門資料をそろえ、4階は子どもが自由に遊べるよう知育玩具を常設する。屋上はまちなかの公園をイメージした開放的な空間とし、読書や飲食を楽しめる。また、1階に和歌山の特産品も取り扱う書店、カフェが入る。年中無休で、昨年12月19日から2階エントランスでのみ一部業務を開始しており、新刊本を中心に借りられる。
②和歌山横丁 自慢の地元食材に舌鼓
和歌山の食材を使った5店舗の料理が同じフロアで楽しめる和歌山横丁が4月、和歌山市北ノ新地上六軒丁にオープンする。
不動産再生やインバウンド事業を行うイントランスホテルズアンドリゾーツが運営。全国で飲食店を展開するアスラボがITを活用し、経営を支援する。キッチン設備や食器、ホールスタッフを共有し、効率化を図るのが特徴で、店舗は3年で循環していく。
フードコートスタイルで、県産マグロを使った専門店、紀州うめぶたの角煮や串カツを提供する店を含めた5店舗が出店予定。テーブルを移動することなくタブレット端末で各店舗の料理やドリンクがオーダーでき、一括会計できる。
地元食材にこだわった複数の店舗が集まる横丁は現在、徳島、大分、宮崎、鹿児島、旭川、宇都宮で展開中で、多言語に対応したタブレット注文が外国人観光客に受け入れられ、新たな地方の魅力発信地として期待されている。
写真=県産マグロに紀州うめぶたなど5店舗が予定
③宝塚医療大学 地域支える医療系人材育成
和歌山市中之島の体力開発センター跡地に、リハビリ専門職を養成する和歌山県内初の4年制大学、宝塚医療大学和歌山保健医療学部が4月、開学する。和歌山県が誘致した大学の一つで、地域に根差した医療系人材の育成を担う。
和歌山県立医科大学と連携し、最先端のリハビリ医療技術を学べるカリキュラムが特長で、理学療法学専攻60人と作業療法学専攻40人の1学年100人からなる。県内医療機関での臨床実習を通して実践的な技術を習得できるほか、教養科目に「わかやま未来学」を設け、医療に携わりながら地域にかかわる人づくりを目指す。
校舎は5階建てで、1階に近隣住民も利用できる図書館とカフェがあり、床や机の天板に紀州材を使って温もりのある空間にする。5階の大講義室は400人の収容が可能で、一般向けの講座や地域の行事にも活用できる。
写真=4月開学の宝塚医療大。カフェは一般利用可能
④こども総合支援センター 虐待ゼロ目指す 児童福祉の拠点
昨年春、本町小学校跡地に開学した和歌山信愛大学の隣、和歌山市北桶屋町に子育て支援複合施設が完成する。
3、4階には児童福祉と教育支援の視点から総合的に子どもをサポートする「こども総合支援センター」が移転し、1月6日に業務を開始。家族療法室や心理療法室、個別学習室を新設し、不登校児・生徒に寄り添った活動を拡大する。和歌山信愛大学はじめ、教育研究機関と連携を図る。
子ども家庭総合支援拠点の役割を担い、教育委員会や保健所、児童相談所と連携を強化し、虐待対応専門員を増員する。武一薫センター長は「職員の気付く力を高め、寄り添い型の支援を広げることで、年々増加している児童虐待の未然防止、早期対応を一層進めていきたい」と意欲を示している。
また1、2階は本町幼稚園が入り、4月に本町認定こども園として開園する。
写真=本町認定こども園も併設
⑤友田町高層ビル 駅前に新ランドマーク
JR和歌山駅近く、和歌山市友田町には商業施設、病院、マンションを備えた20階建ての高層ビルが完成する。和歌山市による市街地再開発事業の一環で、「四丁目再開発」が進めており、春以降、順次オープンする。
敷地面積3300平方㍍で、高さは約83㍍。同市で2番目に高い建物となる。駐車場棟とタワー棟があり、タワー棟1階にはスーパーとカフェ、調剤薬局。2階はクリニックが入るフロアとなる。3〜6階へは同市餌差町の児玉病院が移転。7〜20階は分譲マンション「アトラスタワー」98戸で、既に完売している。
首都圏の駅前マンションは駐車場をほぼ置かないが、地域性を考え、大規模な駐車場棟を併設したのも特徴だ。四丁目再開発の木綿紀文社長は「住民が増え、日常的に使う施設が入るため、まちを歩く人の流れが生まれます。駅周辺のにぎわい創出につながれば」と望んでいる。
写真=商業施設、病院、マンションを備える
⑥北汀丁再開発 お城仰ぐ13階複合型
和歌山市内で交通量が多い汀丁交差点。ここに面する北汀丁に13階建てのビルがお目見えする。昨年夏にはその一角にIBW美容専門学校が校舎を新設。今夏にはレストランやマンション、老人ホームを備えたビルが完成する。
敷地面積1300平方㍍で、3棟の構成。昨年夏に完成した6階建ての美容専門学校の棟に加え、13階に及ぶビル棟は、1階に店舗、2、3階には住宅型有料老人ホームを備える。4〜13階は38戸の分譲マンションとなる。このビルと美容専門学校の間に入る3階建ての棟は1階がレストランで、2・3階も住宅型有料老人ホーム。同棟の屋上が和歌山城を仰げるテラスとなっており、一般に開放する。
ビル自体が和歌山城の調和を意識し、和のイメージで建てられる。事業を進める和通の中田宏史社長は「足かけ5年、完成が近づいてきた。人が集う素敵な施設に取り組め、誇らしく感じます」と話している。
変化の波 2021年も
今年に引き続き、来年2021年には、和歌山市七番丁に和歌山県立医科大学薬学部が開学。隣接する新市民会館「和歌山城ホール」もオープンし、さらに人の流れが生まれる見通しだ。同市湊本町の旧市民図書館跡に今春開学予定だった「リハビリテーション専門職大学」は21年春の開学を目指している。
(ニュース和歌山/2020年1月1日更新)