子 年
令和という新しい時代の新年です。万葉の時代から、穏やかな気候が育んで来た故郷和歌山の風景がいつまでも守られることを願っています。
日本芸術院会員 清水達三
迎 春
あけましておめでとうございます。
昨今はお正月の松飾りを目にすることがめっきり減りました。松は一年中、緑を保つため長寿を象徴し、神が宿る神聖な樹木と古来から受け止められ、新春を彩るお飾りに欠かせないものでした。
万葉ゆかりの地、和歌の浦玉津島神社、その前に浮かぶ妹背山にはかつて「妹背山の下がり松」と呼ばれる松がありました。浄瑠璃で歌われ、明治には絵葉書でこの地の風情を全国に知らしめました。
干潟の水面をわずかに覆う枝ぶりは力強く、明治の人たちは一本の松にこの土地の風光が織りなす絶妙の配置を見たのでしょう。偶然と思えない調和が保たれた景観は時に人の心に自然への崇敬を生みます。
2020年は東京五輪、和歌山ではまちなかが大きく変わります。しかしながら、人びとの生き生きとした表情、育んだ歴史、自然との調和がなければ、まちは見たもの以上を心に呼び起こさないでしょう。
ニュース和歌山は変化の時代に、たえず郷土の記憶、そしてこれからを踏まえたうえで現在を見つめ、より良きものをこのまちの未来につなぎたいと考えています。
本年も変わらずのご愛読を頂けますようよろしくお願い致します。
2020年元旦 ニュース和歌山株式会社