2020年は東京オリンピックイヤー。出場権をかけた戦いに県ゆかりの選手たちも挑んでいます。期待の選手の中から、スケートボードの四十住さくら選手、セーリングの西尾勇輝選手を紹介します。
真夏の東京で〝満開〟の技を〜スケートボード 四十住(よそずみ)さくら選手(17)
東京オリンピックから正式種目になるスケートボード。ねらうは初代女王だ。「あんまり先のことは見ず、今のことだけを考えるタイプ。でも、東京五輪では金メダルを取りたい。毎日の練習で積み上げてきた自分のパフォーマンスを見てほしい」
岩出市在住の伊都中央高校3年生。スケートボードは兄の影響で小学6年生の時に始めた。「子どものころに描いていた将来の夢は幼稚園の先生。子どもが好きだから」。その夢は、スケートボードの五輪採用が決まった2016年に変わった。
専門とする種目はパーク。大きな皿や椀を組み合わせたような、複雑にくぼんだコースで繰り出す技の難度、ジャンプの高さ、スピードなどで競う採点種目だ。18年には、初めて採用された8月のアジア大会、初開催となった11月の世界選手権で頂点に立ち、いずれも初代女王となった。「世界を舞台に戦う中で分かったことは、スケートボードが大好きだということ。そして、滑っているときは緊張しないのが自分の武器だということ。学校の集会で表彰されるときの方が緊張します」と笑う。
普段は授業が終わると、母、清美さんが運転する車で、神戸や大阪の練習場へ直行。昼食だけでなく、移動の車中で食べる夕食も母の手作り弁当だ。「自分のしたいことを犠牲にして、私を支えてくれている。五輪の金メダルは最初にお母さんの首に掛けてあげたい」
五輪切符をかけた戦いは春まで続く。「まずは出場権を取る。そして日本を代表する花〝さくら〟で真夏の東京を満開にします」
写真=真夏の東京、磨いた技で魅せたい
五輪と医師 2つの夢追って〜セーリング 西尾勇輝選手(22)
〝セーリングでオリンピックのメダルを取ること〟、そして〝医者になること〟。子どものころに抱いた2つの夢を追い続ける和歌山県立医科大学生。昨年春から休学し、東京五輪出場権獲得を目指す。「国公立の医学部に在籍しながら五輪に出るという、これまで何度もあきらめそうになった夢が手の届きそうなところに来た。今はそれを絶対につかみたい」
小学3年生の時、B&G和歌浦海洋クラブに入り、海上での風の感覚に魅了された。桐蔭高校1年で日本セーリング連盟の強化選手に選ばれ、1年間休学してセーリングの強豪国オーストラリアに留学し、技術を磨いた。
五輪出場を目指すのは、全長4・5㍍のヨットを1人で操るフィン級。「五輪では最重量級種目。体力、体格が必要で、日本人は不可能と言われてきました。でも、自分には190㌢、100㌔の恵まれた体格があります」。医学部での勉強との両立もプラスにとらえており、「相手との駆け引きや風の読みが得意で、クレバーな走りができるのが自分の武器。これは勉強との両立に取り組むことで得られた思考力や集中力も関係しており、文武両道を目指しているからこその賜物」と胸を張る。
昨年は5月にドイツで開かれた大会で13位、8月のワールドカップで21位など、多くの国際大会で日本人最上位の成績を残した。迎えた2020年、「まずはこれまでかけてきた時間全てを出し切り、ソウル五輪を最後に達成できていない日本人のフィン級出場を目指します」。その上で、「世の中には勉強とスポーツの両立に悩んでいる方も多いと思います。そんな人たちに『私にもできるはずだ』と夢を追ってもらえるような存在になれれば」。
スポーツ伝承館 公式グッズいかが〜メダルにふれられる企画も
和歌山にゆかりのあるオリンピックメダリストらの功績を紹介する和歌山市本町のわかやまスポーツ伝承館(フォルテワジマ3階)で、東京オリンピック、パラリンピック公式グッズを販売している。
売り場には市松模様のエンブレムが入ったTシャツやタオル、キーホルダーやピンバッジなどが並ぶ。「夏はポロシャツがよく売れました。『海外の人に東京五輪をPRしたいので』と海外旅行に行く前に来て買われる方もいらっしゃいます」と江川哲二館長。
なお、体操・田中佑典選手のロンドン五輪銀メダルほか、本物のオリンピックメダルを展示しており、㊏㊐限定でメダルにふれられる企画を実施。1964年の東京大会バレーボールで宮本恵美子さんが獲得した金メダル、72年のミュンヘン大会柔道で野村豊和さんが取った金メダルのいずれかで、日により異なる。
新年は1月4日㊏から開館。午前10時〜午後7時。入館無料。同館(073・423・2215)。
わかやま五輪クイズ
過去のオリンピックに関する問題です。
1964年の東京五輪開催に貢献した御坊市ゆかりの人物は?
①植芝盛平
②和田フレッド勇
③中村覚之助
④ヘンリー杉本
次の和歌山県関連選手が金メダルを獲得した順に並べよ。
①水泳女子200㍍平泳ぎの前畑秀子
②柔道男子中軽量級の野村豊和
③体操男子団体、つり輪の早田卓次
④水泳男子200㍍平泳ぎの古川勝
那智勝浦町出身の西田修平選手は1936年のベルリン大会陸上競技で、大江季雄選手と同じ記録を出し、2位と3位を分け合った。帰国後、銀メダルと銅メダルを半分に切り、くっつけたものは「友情のメダル」と呼ばれている。その西田選手が出場した種目は?
①走り高跳び
②棒高跳び
③砲丸投げ
④やり投げ
リオデジャネイロ五輪、体操男子団体の金メダル獲得に貢献した田中佑典選手。団体決勝で演技した種目を全て選べ。
①ゆか
②鉄棒
③平行棒
④あん馬
⑤跳馬
⑥つり輪
今年の東京五輪に関する問題です。
和歌山県関連で最初に出場を決めた宮田悠佑選手はどの競技に出る?
①レスリング
②アーチェリー
③カヌー
④ボート
4月に県内で行われる聖火リレーで、昨年12月に発表されたランナー45人に、オリンピックの野球競技出場経験者がひとりいる。だれ?
①正田耕三
②嶋田宗彦
③小久保裕紀
④杉浦正則
◆わかやま五輪クイズの答え◆
【問1】②和田フレッド勇(五輪招致委員となり、自費でヨーロッパや中南米を回って協力を求めた)
【問2】①水泳女子200㍍平泳ぎの前畑秀子(1936年)→④水泳男子200㍍平泳ぎの古川勝(1956年)→③体操男子団体・つり輪の早田卓次(1964年)→②柔道男子中軽量級の野村豊和(1972年)
【問3】②棒高跳び
【問4】②鉄棒、③平行棒、⑥つり輪
【問5】③カヌー
【問6】④杉浦正則(バルセロナ、アトランタ、シドニーの3大会に出場している)
(ニュース和歌山/2020年1月4日更新)