全国各地の城郭に詳しい日本城郭史学会委員で、和歌山市に住む水島大二さん(73)が和歌山城(※)の歴史や城郭の特徴をまとめた『ふるさと和歌山城』が3月1日㊐、ニュース和歌山から刊行される。2017年から2年にわたった本紙連載に加筆、再構成した。城郭イラストの第一人者、香川元太郎さんによる和歌山城鳥瞰(ちょうかん)図はじめ新たな内容を多数加え、お城の魅力を凝縮。気軽に親しめ、学べる一冊になっている。
『ふるさと和歌山城』刊行 水島大二さん 城郭ブーム 高まる関心受け
和歌山城と城下町に関する研究は多いが、和歌山城のみを題材にした一般向けの書籍は多くなかった。ニュース和歌山は、和歌山城を通じ、和歌山を知り、郷土愛を深めてもらおうと、「和歌山城で学ぶお城教室」の講師としてその魅力を伝える水島さんに連載を依頼。連載では築城から紀州徳川家へ至る経緯、石垣、堀や城門の構造、天守の特徴、曲輪(区画)の狙い、明治以降に城内の建築物がたどった運命と多岐にわたり、開始当初から書籍化の要望が寄せられていた。
一冊にまとめるにあたり、「羽柴から紀州徳川家へ」「石垣」「城門・城内、城下町」「天守」「変わる城郭 残る面影」と内容を再構成。連載時以上に写真や史料を加え、より分かりやすく中身を充実させた。
また城郭イラストの第一人者で、迷路のイラストでも有名な香川さんによる和歌山城の鳥瞰図を巻頭にカラーで掲載したのをはじめ、本紙発行の『城下町の風景』で彩色を担当した芝田浩子さんによる和歌山城公園のイラスト、四季のお城の写真と見て楽しめる特集を企画した。紀州徳川家ゆかりの寺社、年表、歴代城主と和歌山城の全体像が一冊で分かるよう図った。
「和歌山城の魅力は、美しく再現された天守閣と、様々な時代の特徴をみせる石垣」と水島さん。「戦いの場、生活の場としての城に加え、最近は目には見えにくい設計が注目され、視点は広がっている。鉄砲や弓を向ける穴の空いた土塀、石垣を登ろうとする敵を横から攻撃できる折れ構造などは敵を殺すより恐怖感を与える心理作戦の面があり、昨今の城郭ブームはそういう観点からの注目が強い。そんな関心にたえうる本になるよう心がけました」と語る。
同書を使った城講座も計画中で、水島さんは「本を手に歩いてほしい。今まで知らなかった和歌山城に触れることができます。ここから全国のお城に関心を広げてもらえたら」と望んでいる。
A5判。128㌻、オールカラー。税込み1320円。和歌山県内書店、ニュース和歌山HP(トップ画面右上「書籍」)、アマゾン、楽天市場でも販売。ニュース和歌山(073・433・4882)。
写真=「手にして歩いてほしい」と著者の水島さん
和歌山城(※)
豊臣秀吉により1585年に築かれ、桑山氏、浅野氏と城主をへ、1619年に紀州徳川家初代藩主として徳川頼宣が入城。歴代藩主は城内、城下町の整備を進めた。明治維新後は城内の建築物が移転されるなどしたが、1935年に国宝に指定。45年の空襲で天守閣が焼失し、58年に再建された。和歌山市の観光スポットとして外国人観光客も多く、2018年度は21万人を超える人が天守閣に登城した。
『ふるさと和歌山城』
販売書店は次の通り。
【和歌山市】TSUTAYA WAYガーデンパーク和歌山店・和歌山高松店、WAY書店 TSUTAYAオークワ本社店、宮脇書店和歌山店、宮脇書店ロイネット店、イオン未来屋書店、宇治書店、帯伊書店、松木書店、太田書店、本屋プラグ、くまざわ書店、和歌山大学生協、ブックユー、和歌山市観光土産品センター、和歌山県立博物館、お天守茶屋
【岩出市】WAY書店 TSUTAYA岩出店、WAYミレニアシティ岩出店、荒尾成文堂
【海南市】TSUTAYA WAY海南店、福岡書店、青天堂
【その他】TSUTAYA WAY有田川店、TSUTAYA WAY湯浅店
(ニュース和歌山/2020年2月29日更新)