臨床美術士 普及へ会発足

 認知症予防やストレス発散を目的とした臨床美術を広めたいと、和歌山県内の4人が11月1日、「和の輪会」を立ち上げた。清水薫代表は「その人が本来持っている感性を高めていく芸術です。気軽に体験できる場をつくり、普及させたい」と目を細める。

 脳の活性化を促す芸術療法の一つで、1996年に開発された臨床美術。音楽のイメージをコップに着色したり、手触りや匂いから絵や立体物、コラージュで表現したりする。作品の感想を「上手」だけで終わらせず、「甘い香りが漂ってきそうなみずみずしいリンゴだね」「この部分のこの色が明るくて良い」など、具体的な言葉で伝えるのが特徴だ。

 会話のなかった高齢者が記憶を揺り動かすことで話すようになった、気持ちが発散できたとの例が見られる。高齢者施設のほか、子どもの創造力を高める習い事、社会人のストレスケアに取り入れられている。

 和歌山県内ではこれまで臨床美術士が個人で教室やイベントを実施してきたが、今年8月、和歌山市で合同展が開かれたのをきっかけに同会が発足した。今後、理学療法士やケアマネジャーらの参加を募り、多様な現場での導入を目指す。清水代表は「ストレス社会で頑張る人々が心を解放し、生きる意欲を引き出すお手伝いができれば」と意気込む。

 12月13日㊐午後2時、同市十番丁のボックスゼロで体験会を開く。カボチャを手に取って触り、匂いをかぎ、食べ方や思い出を話した後、立体作品で表現する。先着10人。材料費2000円。希望者は同会(wanowakai@gmail.com)。今後は3ヵ月に一度、第3日曜にイベントを予定し、出張教室も行う。

写真=体験会ではカボチャを立体で作る

(ニュース和歌山/2020年12月5日更新)