心身に障害がある子どもが通う特別支援学校の課題と現状を知ってほしいと、和歌山市西庄の和歌山さくら支援学校で一部の保護者と教員が教育を考える会を立ち上げた。11月17日には、校舎の増設や教員増など学習環境の充実、新たな支援学校の建設を求める署名活動を開始。小学部に子どもを通わせる前田香会長は「児童・生徒の数が増える中、教室が足りていない深刻な状況に陥っている。さくらだけではなく、多くの支援学校でも同じ課題を抱えています」と懸念を示す。

 同校は和歌山県内12校ある特別支援学校の一つ。定員130人の規模で校舎が建設されたが、2014年の開校時点で小学部から高等部まで165人が在籍し、その後も子どもが増え続け、現在は206人が通う。足りない教室を補うため、図工室を転用したり、隣接する和歌山北高校西校舎の教室を使ったりと対応が続く。また専用の運動場がなく、休憩時間の遊びが制限されている。

 こうした課題は新型コロナウイルス感染拡大で浮き彫りになった。校舎が手狭なことから密を避けられず、また基礎疾患を抱える子どもが多く在籍する専門棟の一部が、そうでない子どもの教室として使われており、感染対策に必要な動線の確保が難しいなどの問題が起きた。

 前田会長は「発達に課題を抱える子の多くは環境の変化に対応しづらく、コロナを機に体調を崩す子や、不安定になる子が増えた。親子が安心して通わせられる学校教育を望みます」と訴える。

 一方、大城秀夫校長は「教室不足は当初から対応してきた課題。改善に向けて一緒に意見を出し合い、解決策を探したい」と話している。

 署名は来年1月31日㊐まで。詳細はインスタグラム「shiengakkou」。

写真=子どもに適した学習環境を求める前田会長(右)

(ニュース和歌山/2020年12月12日更新)