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 和歌山市と南海電鉄は5月18日、市民図書館の移転を含めた南海和歌山市駅ビルの建て替え計画を発表した。尾花正啓市長は「本を通じて人と人が交流できる新たな図書館を駅ビルに隣接させ、市の玄関口としてふさわしい景観を創出したい。駅周辺は南方熊楠や雑賀衆ゆかりの地で、市堀川といったスポットもある。周辺を巡る拠点になれば」と語った。

 市駅の1日平均乗降客数は50年前の5万4000人から、現在は1万7000人前後に落ち込む。1973年に完成した駅ビルの老朽化と共に、昨年は百貨店が撤退し、駅を中心とした地域全体の衰退が深刻化している。同社は2013年度に県と市を交えた南海和歌山市駅活性化調整会議を立ち上げ、駅と駅前広場、周辺地域の活性化策を練ってきた。

 工事は2期に分けて実施。17年春に完了する1期工事は、現在の駅ビルの南西に隣接する駐車場に7階建てのオフィスビルと、ホーム側に2階建ての駅舎を造る。駅は改札を1階にすることでバリアフリー化を図る。2期工事は駅ビルと市営駐輪場を解体し、同地に18年度末までに市民図書館を建設。20年度中に駅と図書館をつなぐ商業施設も建て、駅前広場を整備する。

 事業費は1期が40億円、2期の図書館移転が29億円で、国の補助金などを活用。現在の図書館は耐震改修し、生涯学習施設として活用する。同社の亘信二社長は「コンセプトは『人々が集う和歌山らしさを兼ね備えたソーシャルセンター』。便利な駅として認知され、駅周辺の人口と利用客の増加を期待している」としている。

写真=新駅舎の完成イメージ図

(ニュース和歌山2015年5月23日号掲載)