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 専用のロープ、そしてサドルと呼ばれる安全帯を使って木に登るツリークライミング。未経験者に指導できるファシリテーターの資格を和歌山県内で唯一持つのが岩出市の青木光男さん(72)だ。資格取得から10年目、これまで1000人以上を樹上の世界へいざなってきた。6月から12月までの偶数月には同市根来のげんきの森で体験会を開く。「木に登れば、春には新芽、秋は実ったドングリが自分より下に見える。変わりゆく季節を感じられますよ」。優しい笑顔で参加を心待ちにしている。

 青木さんとツリークライミングの出合いは2004年。げんきの森里山まつりの一環で体験会があり、樹上からの景色に魅了された。翌年、自ら楽しむためにベーシックツリークライマー、そして06年、ファシリテーターの資格を取得した。

 以後、県内各地の森で子どもから大人までに指導してきた。その数、1000人以上。「日ごろ、テレビゲームに夢中な子どもたちが、自分の力で10㍍以上の高さにある枝まで登る。その達成感は味わったことのないもの。みんななかなか下りてこないし、帰りのニコニコした顔は充実感でいっぱいです」

 げんきの森では、高さ12㍍ほどの枝までたどり着けば、遠くに紀の川が望める。「上からの景色はすばらしい。ヤマガラやキツツキが寄ってきますよ」。木と木の間にハンモックのように設置する道具、ツリーボートでリラックスして眠ってしまう子もいる。

 登る前には木の幹に優しく手をあてて、〝よろしくお願いします〟。落ち葉が多い場所なら、その落ち葉を木の根元にしく。「根の周りを踏み固めてしまうのを少しでも防ぐためなんですよ」。ロープが枝に当たる部分にはゴムのチューブを付け、木を傷つけないよう心を配る。楽しんだ後は再び幹を触って〝ありがとうございました〟。欠かさない木々への敬意。「自然を大切にする子たちが一人でも増えてくれたら」──

 体験会は6月14日、8月9日、10月11日、12月13日の各日曜。各日午前10時の部と午後1時の部があり、いずれも定員10人。保険料など小中学生2500円、大人3000円。長ズボン、運動靴を準備する。希望者は住所、氏名、年齢、腰回りサイズ、血液型、電話番号をFAX(0736・63・2895)かメール(amituo@aqua.ocn.ne.jp)。問い合わせ電話番号はFAXと同じ。

写真=「木と友達になりませんか」と青木さん

(ニュース和歌山2015年5月30日号掲載)