和歌山市の産業政策について話し合う市産業戦略会議が立ち上がった。5月26日の第1回の会合では、今年度内に市が策定する「市産業振興ビジョン」について、島正博島精機製作所社長や吉村典久和歌山大学経済学部教授ら8人が議論した。委員長に選ばれた国土技術研究センター理事長の谷口博昭さんは「新たな価値を創造する中・長期的な視点でビジョンを作っていきたい。様々な人の声を反映させ、実効性のある内容にまとめる」と意気込んだ。
会は4月施行の市産業振興基本条例に基づいて設置。市の産業について調査・審議し、市長に提言する。今年度は、産業に特化した具体的施策を盛り込んだビジョンを市が初めて策定するにあたり、委員が意見を出す。
5月26日は市産業政策課から人口動態や産業構造、観光客の状況について説明を受けた。市が挙げる4つの課題「既存産業の成長促進」「創業促進と産業間連携の強化」「人材育成」「地域資源の活用とブランド力強化」について、委員は「製造業は部品メーカーが多い。企業間の連携を促し、新たな完成品を生み出すことで付加価値をつけては」「『おもてなし』が議論されがちだが、それだけでは観光客は来てくれない。目的にしてもらえる観光資源を磨くべきだ」と語った。
同席した尾花正啓市長は「地方創生の柱になるのが産業戦略。半世紀先を見据えた長期ビジョンが必要で、策定に向け有意義な意見交換を続けてほしい」と話していた。
(ニュース和歌山2015年6月6日号掲載)