海南市のピアニスト、上野山彩子さんが6月26日(金)午後6時半、和歌山市西高松の県立図書館2階で演奏会「後期バロックと近・現代の愉(たの)しみ」を開く。今回は「ボランティアシート」を10席限定で設け、受付や誘導係など、クラシック公演のサポートに興味がある人を無料で招待する。上野山さんは「クラシックを受け継いでゆくには演奏家だけの力では先細りする。演奏家も客も安心して楽しめるよう、支える人材を育てたい」と意気込んでいる。
上野山さんは大阪出身で、神戸山手女子短期大学音楽専攻科修了。現在は和歌山と大阪で後進の指導にあたる一方、自らコンサートを主催し、県内外で演奏活動を行っている。
演奏会は4〜10人のアシスタントが必要で、通常は友人や音楽教室の生徒らが手伝うことが多い。演奏会を開いたり聴きに行ったりする中、アシスタントの重要性を感じた。「途中で来たお客さんを会場に入れるタイミングや花束の受け取り方、公演前の来客対応などサポートする側にも知識が必要。そういったことに詳しい人を必要とする演奏家は多いと思いました」と上野山さん。
ボランティアシートは、普段クラシックになじみのない人を募り、無料で席を提供する代わりに、今後、コンサートのマナーやクラシックの基礎知識を学び、ゆくゆくは県内の演奏会でアシスタントとして活躍してもらうのがねらいだ。
当日は大阪在住のピアニスト、加藤英雄さんを招き、バッハ、ドビュッシー、ガーシュウィンらの曲を連弾やソロで披露する。また、ラヴェルの組曲『マ・メール・ロア』のモチーフになったシャルル・ペローによる童話の紹介も。上野山さんは「音楽だけでなく、文学的な要素も取り入れます。子どもにも来てもらいたい」と話している。
ボランティアシートは20歳以上で、クラシックを専門的に学んだ経験のない人対象。希望者は上野山さんにメール(danza.del.molinero_aya@ezweb.ne.jp)。6月18日締め切りだが先着10人。公演は2000円、当日2500円。県文、和歌山市民会館ほかで取り扱い。音楽愛好会フォルテ(073・422・4225)
写真=「演奏家も観客も気持ちよく過ごせる演奏会を」と上野山さん
(ニュース和歌山2015年6月6日号掲載)