和歌山市の指定文化財に新たに2件が加わった。玉津島神社(和歌浦中)の「三十六歌仙額狩野興甫(かのうこうほ)画」と惣光寺(太田)の「総光寺中古縁起」。6月21日(日)まで、湊本町の市立博物館で一部を展示している。
「三十六歌仙額」は、紀州藩のお抱え絵師、狩野興甫が山部赤人、小野小町ら和歌の名人36人を描いた肖像画。鎌倉時代以降、三十六歌仙額が数多く作られたが、同神社のものは、紀州初代藩主、徳川頼宣の寄進により1660年に奉納された。36枚すべてがそろい、保存状態も良好で、狩野興甫の代表作と言える貴重な資料と認められた。
「総光寺中古縁起」は1631年の制作とみられる。空海により総光寺が開かれた際の話や、太田城水攻めの様子などが10枚の絵と文章で記されている。寺の由来や秀吉による水攻めを伝える歴史史料として重要で、既に市指定文化財となっている「総光寺由来并太田城水責図」に追加で指定された。
写真=三十六歌仙額「山部赤人」
(ニュース和歌山2015年6月20日号掲載)