和歌山電鉄貴志駅のたま駅長が6月22日に亡くなり、6月28日に同駅で社葬が営まれた。国内外からファン3000人が詰めかけ、献花台は花束やキャットフードでいっぱいになった。
駅構内に祭壇が設けられ、喪主で飼い主の住友利子さん、同電鉄の小嶋光信社長、仁坂吉伸知事らが出席(写真この記事 中)。小嶋社長は「目を見た途端、『この子は貴志駅の駅長だ』とひらめきました」と出会ったころをしのび、「和歌山電鉄と地方鉄道の救世主としてこの世に現れた。一緒に働けたことを誇りに思う」。住友さんは「たまはこれからもみんなの心の中に生き続けると思います。いつまでも忘れないでください」と語った。
式後、参列者は長蛇の列をなして順に祭壇へ。兵庫県から駆けつけた明石博美さんは「2、3回会いに来たことがあります。座っても寝てても人をひきつける魅力がありました」。ヒマワリとバラの花束を手向けた和歌山市の山下美佳さんは「16歳の誕生日の時も少し元気がなくて心配だった。ヒマワリは周りを明るくするたまに似合うと思って…」と手を合わせた。駅前の喫茶店、しおんの西岡充子さんは「見たことないくらいの人が見送りに来てくれた。『今までお疲れ様でした。ありがとう』と言いたい」と話していた。
たまは5月19日から鼻炎で入退院を繰り返し、6月22日午後7時10分に急性心不全のため永眠。28日は小嶋社長から最後の辞令として「名誉永久駅長」に任命された。
【たま駅長のあゆみ】
1999年4月29日=貴志駅で生まれる
2007年1月5日=日本初の猫駅長に就任
08年1月5日=スーパー駅長(課長職)に昇格
08年10月28日=知事より県勲功爵(わかやまでナイト)の称号受ける
11年1月5日=県国際観光客招き担当に。県客まねき大明神を拝命
14年1月5日=貴志川線総駅長職「ウルトラ駅長」就任