和歌山市築港の喫茶店、水茶都(みさと)に明治から昭和初期にかけての和歌山の風景を撮影した古写真250点が展示されている。同市の溝端佳則さん(55)が20年かけて集めた古い絵ハガキを拡大コピーし提供した。同店は「懐かしい和歌山の姿にふれたい人はぜひ」と呼びかけている。
同店にひんぱんに通う溝端さんは、昔の和歌山が撮影された古い絵ハガキのコレクターで、その数は現在約1万2000枚にのぼる。店主の木村好秀さん(66)と世間話をするうち、木村さんが和歌山の街並に関心が深いのを知った。自分のコレクションを見せると、次々と昔の話が出てくるため、溝端さんは「ここなら古い写真を生かしてくれる」と展示を申し出た。木村さんは快諾し、絵ハガキだと小さいことから、見やすいように拡大コピーし、壁一面に飾った。
1階には和歌祭、根上がり松、戦前の市内、高野山の写真を並べた。2階は和歌浦が中心で、妹背山、新和歌浦、雑賀崎と沿岸部の風景がずらり。明治時代に撮影された木造の旭橋や、あしべや旅館、旅館望海楼が奠供山に設けた日本初の鉄骨エレベーターと近代の和歌浦をとらえた貴重な写真が多い。
木村さんは「ご高齢の方の中には涙を流しながら見てくれる方もいます。私も親しんだ場所がたくさんあり、よく泳いだ水軒浜、宝探しをした根上がり松と昔がよみがえります」。
溝端さんは「明治から大正に撮影された鷺の森別院の門前通りなどは他に写真のない珍しいものです。今とは違う当時の姿が新鮮です」と笑顔を見せる。
日祝休み。午前9時〜午後5時。同店(073・432・5887)。
写真=昔の街並が写った絵ハガキを眺める店主の木村さん
(ニュース和歌山2015年7月8日号掲載)