生産性が高い農地を守ろうと和歌山県は8月、和歌山市と連携し郊外の開発を抑える方針を打ち出した。これにより、同市郊外の農地転用は原則、集落内のみに限定されるようになった。中心市街地への居住を促し、コンパクトなまちづくりを進める一環で、県農林水産総務課は「郊外への宅地の拡散を防ぎ、優良な農地を守っていきたい」と話している。
同市の農地は、中心部にあり届け出のみで宅地にできる市街化区域内農地と、郊外に位置し、開発に条件がかかる市街化調整区域内農地に分かれる。市街化調整区域内の農地で、1ヵ所にまとまっている田畑や、水利施設が整っているなど特に条件が良い場所は、「優良農地」として市が指定している。
今回の改正は、この優良農地が対象。優良農地に家や店舗を建て農業以外に利用するには県の同意のうえ、市町村が指定を外す必要がある。これまで県は新しい道路の開通に伴う農地転用への指定の除外は状況により同意していた。今後は原則、家屋の集まる集落内に限る(図)。
和歌山市は2001年に市街化調整区域内の開発を緩和する条例を制定している。05年には50戸以上がそれぞれ50㍍以内の間隔である既存の集落は近接して開発できるなど、さらに緩和する条例に改正し、宅地が郊外へ拡散する要因の1つになっていた。市は今年8月、この基準を見直すと発表。これを受け、県都市政策課は「和歌山市の取り組みと同じように、他の市町とも連携しながらコンパクトなまちづくりを進めていきたい」と語っている。
図=市街化調整区域のイメージ。◯の既存集落内は農地転用可能、×は原則、農地転用が不可になった(提供:県農林水産総務課)
(ニュース和歌山2015年9月12日号掲載)