【秀吟】

今日も暇何は無くとも飯を炊く    楠原 富香

何食わぬ顔の向こうが透けている   橋口栄美子

何事もなくて過ごせる日々感謝    福島 一雄

何かしら抱えこんでる悪い癖               瓦野 正美

何もかも忘れ尻尾を振りまくる    中西 宏夫

草を抜く心の中は何も無し          山東日出男

戦争は駄目と何度も言った父     土屋起世子

何も彼も知ってるような両隣     北山 絹子

土壇場になれば何でも有りになる   山裾かず子

幼子の何でに翼生えてくる      福井 菜摘

何程のことがあろうか彼も人     喜田 准一

四面楚歌何はともあれ横になる    岡本  昇

生きる道何とか探し出す土竜         磯部 義雄

何気ない言葉に人の優しさが               根田よしこ

何をするにも先立つものは諭吉殿         米澤 俶子

何事も本音話せる友がいる                佐藤 幸子

何も変わりなかった今日の聴診器   上村八重子

何気ないひと言息の根を止める            楠見 章子

【寸評】

何事もなくて過ごせる日々感謝             福島  一雄 

 何事もなくて平穏に暮らせること、そのことに感謝することが一番の幸せなのですね。やや人生訓的ではありますが、共感を呼ぶ川柳でもあります。

何も変わりなかった今日の聴診器   上村八重子

 定期受診でしょうか。異常がなかったことを聴診器を擬物化して、さり気なく喜びを詠まれて佳句にされています。

10月の兼題は「巨大」。10月15日(木)必着。1人3句まで。

〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係

(ニュース和歌山2015年10月3日号掲載)