2015101011hirose

 友達を乗せ人力車を引く経験を通じ、信頼関係を築く大切さを感じて——。車夫として活動する和歌山市の北原美希さんと師匠の松本祥平さんが9月28日、同市祢宜の和佐小学校で6年生58人を対象に体験会を開いた。

 北原さんは、かつて人力車で日本一周した松本さんにすすめられ、2013年に車夫の道へ。三重で研修後、奈良に移り住み、観光客を乗せて街を走り回った。体調を崩し、昨年故郷に戻ってからは、イベント時に活動している。

 「不安を感じずに乗ってもらうには、動作をていねいに、目を合わせてあいさつしよう。力でなく、相手を思いやる心で引いてください」と松本さんが話した後、車夫と乗客に分かれ、挑戦。70㌔の車に2人ずつ乗り、体育館を一周した。

 車夫役の児童は、北原さんと松本さんから「胸を張って堂々としよう」「最後まで気を抜かず、ゆっくりそっと降ろそう」とアドバイスを受け、慎重に梶棒を握り、バランスを取りながらゆっくり車を引いた。

 2周回った田村智哉くんは「乗せた人を落としたらどうしようと、ものすごく緊張しました。汗ダラダラで走るイメージがあったので、意外と軽くて驚いた」、乗車した青山華依さんは「座り心地最高で、いつまでも乗っていたかった。乗りながら、景色がいい所や夕日が落ちる場面を見てみたい。女性の車夫はかっこいい」と瞳を輝かせた。

 北原さんは「2周目になるとゆとりができ、相手を思いやりながら上手に引けていました。その変化に、こちらが感動したほどです。これからも和歌山で人力車にふれる場をつくり、もっと身近に感じてもらえたら」と話していた。

写真=北原さん(左)に教わりながら人力車を引く児童

(ニュース和歌山2015年10月10日号掲載)