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 海中写真家で2010年に和歌山市文化功労賞を受賞した由木毅さん(72)が、エッセー集『私の愛した宇宙人』を出版した。由木さんは「宇宙から見れば人間もまた地球型宇宙人。今までの人生で出会った〝宇宙人並み〟に型破りな友人たちとのエピソードをつづりました」と話している。

 鳥取県境港市出身。幼なじみの遺言をきっかけに43歳でカメラを持ち、世界各地の海に潜ってはシャッターを切り、コンクールで入賞を重ねてきた。フィルム撮影にこだわり、重さ8㌔のカメラ2台を両手に構えて海底の生物を撮影する。

 執筆にも取り組み、2009年に自叙伝『ネオン川から海へ流された男』とSF小説『宇宙の果て』を出版。「自叙伝で自分のことは書いた。次は周りのことを」と3年間かけ、初めてのエッセーに取り組んだ。

 エスカレーターで居眠りし、前歯4本を折ったボクシング好きの「歯のない宇宙人」に始まり、10日間不眠不休で働く体力と精神力で周囲を驚かせる「不眠星人」、長年、バディ(相方)として二人三脚で海中に潜った亡き友人をしのぶ「宇宙の彼方(かなた)へ」など13章にまとめた。

 由木さんは「振り返り、人とつむいだ絆を文章にできた。若い人は人とのかかわりを避けがちに感じるが、人と人が出会い交わり、互いを信頼することで友情が生まれ絆になる。海の中で見る生き物たちも同じです」とほほ笑む。

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(ニュース和歌山2015年12月9日号掲載)