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 和歌山市のボランティア犬、もか吉の生い立ちを記した『家族の愛犬から、地域へ─もか吉、ボランティア犬になる。』が15日(火)、集英社インターナショナルから出版される。著者はジャーナリストの江川紹子さん。和歌山で取材を重ね、もか吉が地域に役立つ犬に成長するまでの4年間の軌跡をつづった。

 同市福島に住む吉増江梨子さんの愛犬、もか吉は紀州犬の血をひく4歳のオス。2011年6月に加太の溝でひん死の状態だったところを吉増さんに保護され、一命を取り留めた。貧血とおう吐を繰り返す病気と、極度に人を怖がる対人恐怖症を患っていたが、吉増さん家族の看護と、しつけの先生がいる「犬の幼稚園」に通うことで徐々に克服。今では人に寄り添い、福島地区を散歩中に毎日見回る防犯パトロール活動のほか、介護施設で高齢者を癒やすセラピー犬、時には小学校の動物愛護教室でボランティア犬として地域に奉仕する。

 江川さんがもか吉に出合ったのは2年前。東京大学で開かれた日本動物病院協会の報告会で、吉増さんの発表を聞いたのがきっかけだった。江川さんは、山犬だったもか吉が人とかかわる姿に驚き、取材を依頼。今年5〜8月、保護された場所や動物愛護教室を訪れるなど、もか吉の4年を綿密にたどった。「和歌山ではもかちゃんや他の犬が単なるペットではなく、地域の中で役立ち、人と動物が助け合う新しい関係ができていると感じた」と江川さん。

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 同書は、吉増さん家族との出合いに始まり、病気とのたたかい、動物愛護教室でのふれ合い、防犯パトロール犬としての活躍まで、8章に分けて記している。小学校高学年から読める優しい文章で書かれ、もか吉の愛くるしい写真をたくさん添えている。吉増さんは「もかだけが特別な犬ではない。どんなワンちゃんも接し方次第でご近所に愛される犬に育つ。家族で読み、おうちのワンちゃんとの関係を見直すきっかけにしてもらいたい」と語る。 

 江川さんは「犬だけの話ではなく、人と犬の話。『地域の中で人はどう生きるか』が隠れテーマになっています」と話している。

 四六判、136㌻。1512円。発売記念イベントを15日午後1時、同市延時の紀州屋、19日(土)午後2時、同市松江のツタヤウェイガーデンパーク店で開く。各店で本の購入者先着100人に肉球スタンプのサインと記念撮影をするほか、もか吉グッズをプレゼント。詳細はブログ「もか吉ゆったり日記」。
(ニュース和歌山2015年12月12日号掲載)