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 恨みのこもった声で「1枚、2枚~」と皿を数えるお菊。「皿屋敷」を語りながら、「なぜ幽霊は女性ばかりなのか」を解き明かす木津川計さんの一人語り劇場「『番町皿屋敷』異聞」が6日、和歌山市西高松の松下会館で開かれ、130人を超える聴衆が絶妙の語りと解説に引き込まれた。

 舞台ではまず、家宝の皿を隠された挙げ句、「皿を盗んだ」と身に覚えのない罪で切り殺されるお菊の恨みを描いた播州皿屋敷を落語で口演。続いて、男の気持ちを確かめるため、お菊が自ら皿を割り納得ずくで切られる番町皿屋敷を歌舞伎調に演じた。

 木津川さんは、番町皿屋敷に書きかえられたことで、男のまことを讃える話となった理不尽さを指摘。その上で、女性が恨みをはらすには幽霊となって復しゅうするしか方法がないこと、さらに、今もまだ女性差別が残る日本の現状を論じた。落語、歌舞伎を演じる話芸と、独特の解釈に、聴衆は大きくうなずいていた。
(ニュース和歌山2015年12月12日号掲載)