兼題「賑やかなこと」三宅保州選②
秀吟
レモネード女二人の昼下がり               中西 宏夫
蟻んこが喋りだしたらどうしよう     玉置 当代
蜂蜜の一滴蟻のカーニバル        岡本  昇
折りたたみ日傘に熊蝉のシャワー     宮野みつ江
生きてると蝉が鳴き切る短い日      北原 昭枝
五百羅漢背にいっぱいの蝉の声      宇野 幹子
お日さまに挨拶蝉のジャズバンド     石田ひろ子
父の日も父は喇叭を吹いている      武本  碧
羽衣の薄さへにぎやかな視線       小谷 小雪
毎日をどんちゃん騒ぎして生きる     森口 美羽
賑やかに送ってほしいその時は      田中 みね
賑やかな噂話がまだ続く         喜田 准一
賑やかしに呼んでもらってピエロする   堀田 順一
卓袱台が笑いころげていた昭和      冨吉  剛
三席・にぎやかな人でも逝くときはひとり 日野  愿
二席・七日間は許してあげる蝉時雨    磯部 義雄
一席・大皿の昔話をつつき合う      古久保和子
 選者吟・天国はきっとにぎやかだと思う

寸評
卓袱台が笑いころげていた昭和      冨吉  剛
 評 昭和の卓袱台という発想が秀逸です。きっと大家族で一家団欒されていたのですね。現代の卓袱台は、スマホしながら食べているということのないことを祈ります。

七日間は許してあげる蝉時雨       磯部 義雄
 評   蝉は地上に出れば僅か一週間ほどの命であると言われます。その一週間を喧しく鳴き通す位は許してあげようと言う、作者の優しさが伝わります。
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2016年1月の兼題は「祝う」。1月14日(木)必着。1人3句まで。
〒640・8570ニュース和歌山編集部「和歌山三幸川柳会」係
(ニュース和歌山2015年12月19日号掲載)