NHK大河ドラマ「真田丸」が10日(日)に始まる。主役は真田幸村。徳川家康が豊臣家を滅ぼした大坂の陣で、徳川方を大いに苦しめた戦国時代最後のヒーローだ。関ヶ原の戦いで西軍についた幸村は14年間、九度山町で謹慎生活を送り、大坂の陣が始まると地元の若者が幸村を慕って大坂へ馳せ参じたと伝わる。そんな幸村と住民の絆が九度山には今も息づいている。
今も昔も同じ もてなしの心
南海高野線九度山駅から紀の川方面へ5分ほど歩くと「真田のみち」と書かれた看板が見えてくる。同町の中心街を貫く真田のみち沿いには、大坂城へ通じたと伝わる抜け穴や幸村が過ごした屋敷跡に建てられた寺、善名称院(真田庵)があり、3月には真田ミュージアムがオープンする。
中心部の「真田いこい茶屋」は地元主婦らでつくる有償ボランティアがもてなす休憩所。古民家のたたずまいや店内のびょうぶ、甲冑(かっちゅう)が歴史を感じさせる。スタッフの西畑操さんは「九度山の人は人懐っこくてお節介ばかり。だから幸村さんも14年間ここでいられたのだと思います」とにっこり。タオルやTシャツなどの真田グッズが買える。元気で話し好きな〝看板娘〟が、幸村が泳いだと伝わる川、名産の柿を使ったレシピ、景色の良いスポットなどを教えてくれる。
予約注文のみで販売する手作り弁当(700円)が人気で、中でも幸村が旗印に使用した六文銭がモチーフの弁当が好評。大根や梅干し、米など地元食材をふんだんに使い、素朴な味わいが特徴だ。スタッフの坂上京子さんは「幸村さんがいたから皆がまとまれる。9度来ても飽きない場所と思ってもらえるよう、お客さんを迎えたい」。
いこい茶屋は午前10時〜午後4時。木曜定休。電話0736・54・9058FAX兼。
写真=いこい茶屋は手作り弁当と笑顔で迎える
手作甲冑隊が町の魅力発信
イベントでも幸村を愛する住民が活躍。「紀州九度山手作甲冑真田隊」は、自作した朱塗りの甲冑をまとい、イベントなどに出陣する。
甲冑隊は町を盛り上げようと集まる「住民クラブ」のメンバーが2010年に結成。小学4年生〜70代の約20人が5月に町で開かれる「真田まつり」など町内外のイベントに出演する。会場では、観客と一緒に勝ちどきをあげ、鉄砲隊が演武を披露。年間10回程度の出陣は、大河ドラマ決定後に依頼が増え、今年度は既に40件を超えている。
製作に約半年かかる甲冑は、メンバーがアルミ板で手作り。歩くと「カチャカチャ」と音が鳴り、本物に近い雰囲気が漂う。また、ヘルメットを巧みに利用したかぶとの前立ては、六文銭や真田家の家紋、九度山町のマークを使用している。
甲冑の一部は、いこい茶屋や町内の個人商店で飾り、4月のイベント「町屋の人形めぐり」では甲冑隊が町内に繰り出し、観光客の案内や写真撮影に応じる。幸村役をこなす梅下修平隊長は「人気の幸村役はプレッシャーですが、声を低くしてなりきります。来てくれた人に当時の趣を感じてもらえれば」と気合いを入れている。
写真=紀州九度山手作甲冑真田隊
スポットガイド
善名称院(真田庵)
幸村と父、昌幸の屋敷跡に建てられた寺。門や瓦などいたるところに六文銭が施され、昌幸の墓のほか、武具や書状、幸村が使ったとされる槍(やり)の先が展示されている宝物資料館(入館料200円)がある。
開館時間:午前9時〜午後4時
電話番号:0736・54・2218
道の駅くどやま
地元産物の販売店、焼き立てパンを売るベーカリー、大型遊具がある。観光情報案内所では、歴史を紹介するパネルや甲冑を展示し、幸村にまつわる情報を発信。幸村グッズも豊富にそろえる。
営業時間:午前9時〜午後6時半
電話番号:0736・54・9966
真田ミュージアム
3月13日(日)オープン。14年間という幸村の生涯で最も長く過ごした九度山での生活をパネルやドラマ仕立ての映像で紹介する。大河ドラマ展では撮影で使用した衣装や小道具を展示する。
開館時間:午前9時〜午後5時
入場料金:大人500円、小中学生250円
(ニュース和歌山2016年1月1日号掲載)