「ちゃんとパンが焼けるようにみんなで唱えましょう。『パンだ パンだ パンダのパンだ♪』」。優しい語りで、オリジナルの紙芝居を聞かせるのはロッキー・タカ~ダさん(27)。妻のあやさん(30)と作品を作っては、休日に子育て広場で披露する。ロッキーさんは「テーマは〝愛と勇気のファンタジー紙芝居〟。転勤族で和歌山に来て2年ですが、紙芝居のおかげで地域に溶け込めました」と声を弾ませる。
以前、奈良に住んでいた時、寺の花祭りで偶然、紙芝居を演じる男性を見たのがきっかけ。「子どもたちの食いつきがすごい」と魅了され、男性に声をかけて〝弟子入り〟した。
トレードマークの白い帽子と短いネクタイを身につけ、毎月1回、みその商店街の和歌山こどもの広場に登場。同広場の新田立子さんは「テレビやスマートフォンと違い、生の息遣いが伝わるのがいいですね」。
ストーリーをロッキーさん、絵をあやさんが担当し、今では5作品になった。最新作『パンダのパンや』は、動物の顔そっくりにパンを焼くパンダが、白いパンを焼こうと奮闘するお話。「どれを入れたらいいかな?」と絵を見せ問いかけると、「お塩?」「牛乳!」と元気な声が返ってくる。
最近は子ども食堂にも出張し、他府県からも時折、依頼が入るようになった。あやさんは「初めは子どもの反応が不安で、演じている間、うつむいていました。今では楽しく、筆に力が入ります」とにっこり。
ロッキーさんは「『あっ、また来た!』と言ってもらえるのがうれしい。紙芝居を通じておじいちゃん、おばあちゃんと孫世代のコミュニケーションになれば」と願う。現在は、自分の結婚式で使った小さなリボンをモチーフにした次回作『幸せのロゼット』を構想中だ。 次回は8月27日(土)午後1時半、同広場。同広場(073・428・2411)。
写真=こどもの広場で演じるロッキーさん(右)とあやさん(左奥)
(ニュース和歌山2016年7月30日号)