政府が地方創生の一環として検討を進めている中央省庁の地方移転。和歌山県が昨年から誘致活動を続けていた統計局について、一部業務を和歌山に移転することになった。

09030303_toukei 東京一極集中を是正し、職員移住による地方の人口増と経済活性化を目指す中央省庁の地方移転。県は昨年8月に統計局誘致に名乗りをあげ、今年5~7月には全国から関係者を集めて研修会を開き、業務を実験的に行うなど検証を進めてきた。

 移転するのは、統計局が持つデータを自治体や民間企業に提供する業務。国の2017年度予算への概算要求に準備費1億円が計上されており、18年度以降に県内に拠点を開設する。

 これに合わせ、県は「データ利活用推進プラン」を策定。18年度をめどに独自に「県データ利活用推進センター(仮称)」を開設し、近畿各府県の大学や研究機関と連携した統計資料の有効活用や、人材育成に取り組む。また、健康診断受診率や食事の傾向から健康対策、世帯収入や待機児童率から女性の就業支援といった統計データを生かした施策を展開する。

 統計学が専門の和歌山大学観光学部、大井達雄教授は「民間、行政ともその成果や裏付けの可視化が求められる時代。数字は強い説得力を持ち、その拠点が和歌山にあることは、地元の強みになる。データに基づいた地域課題の解決や、新規ビジネスの創出、人材育成などが進めば」と期待している。

写真=7月に実施した業務の実証実験

(ニュース和歌山2016年9月3日号掲載)