岩出市に伝わる民話をテーマにした音楽劇「住蛇(じゅうじゃ)が池の花嫁」が11月6日(日)、県民文化会館小ホールで開催される。平安時代の根来が舞台で、脚本・演出を手掛けた和歌山市の杉山みかんさんは「当時の情景や話し言葉を思い浮かべ、民話を極力忠実に再現しました。和歌山のはかなくも美しい伝説を知り、地元に誇りをもつきっかけにしてほしい」と願う。
岩出市誕生10周年を記念し、市が『ふるさと讃歌〜紀州路100曲』を作曲した和歌山大学の森川隆之名誉教授と、民話や童謡を題材に脚本を書く杉山さんに音楽劇を依頼した。
民話は、小野小町を愛した深草少将の伝説「百夜通い」がもとになっている。根来山のふもとに住んでいた夫妻が小野小町の墓に祈り、念願かなって子どもを授かった。桂姫と名付け、大切に育てたが、姫の婚礼の日、住蛇が池(現在の住持池)から深草少将の化身とされる大蛇が現れ、さらわれてしまう…。
2015年度に和歌山市文化奨励賞を受賞したソプラノ歌手の上島幸恵さん、声楽家で和歌山信愛女子短期大学の畑中雅英教授ほか、県出身者や和歌山にゆかりのあるプロの音楽家が出演。朗読グループ、岩出やよい会のメンバーは、劇前に解説する語りや、里人として登場する。
杉山さんは「さらわれた桂姫が両親への思いを朗々と歌う叙情的な独唱は感動的です。親や婚約者、それぞれが織りなす心模様を感じとって」と話している。
午後5時半。3000円。公演前にソプラノ歌手の尾上利香さんによる『ふるさと讃歌』独唱と、ピアニストの宮下直子さんの生演奏。県文、和歌山市民会館で取り扱い。
(ニュース和歌山2016年10月8日号掲載)