法政大 湯浅誠教授が講演
子どもの貧困が問題となる中、ホームレス支援、貧困問題に携わってきた法政大学教授の湯浅誠さんが5日、「将来を担う子どもたちに社会が今できること」と題し和歌山市で講演した。食事を通して支援する子ども食堂を紹介し、「問題に関心を持ち、自分ができることからまず一歩踏み出すことが大切」と強調した。
貧困家庭の子どもは全国に320万人で、この2年間に子ども食堂は300ヵ所で開かれた。湯浅さんは「子どもは貧困でも『自己責任』とは言われないが、『昔の方がもっと大変だった』と言う大人が問題解決を妨げる」ときっぱり。子ども食堂については「居場所を設け、情報を交換することが目的。食事はきっかけづくりです」と説明した。
支援に取り組む際は、「特別なことはしなくていい。自分が気づかない普通のことが、支援される側にとって特別なこともある」と呼びかけ、できることの見直しを提案した。
続いて行われたシンポジウムで、NPOなどから子ども食堂や子育て支援の実践例が紹介された。湯浅さんは行政や学校、地域とどう連携するかを話し、「セーフティネットの網の目を細かくすることが重要」とアドバイスした。
子どもの生活支援ネットワークこ・はうす事務局長として昨年1月から子ども食堂を開く馬場潔子さんは「支援を難しく考えず、一緒にご飯を食べるだけでもいい。話をしたいだけの子もうちに来ますので、『居るだけ支援』という言葉を実感できました」と納得していた。
(2016年11月12日号掲載)