古くから地域に伝わる技術や遊びを学ぶ授業が、和歌山市内の2小学校で開かれました。宮小学校(和歌山市秋月)では岩出市の伝統工芸、根来塗を、東山東小学校(和歌山市山東中)ではたこ作りとたこ揚げを体験しました。
宮小 職人招いて根来塗
岩出市の伝統工芸、根来寺根来塗の職人による出前授業が1月31日、宮小学校で開かれ、4年生91人がうるしを塗る工程を体験をした。
指導したのは、根来塗の復興に取り組む池ノ上曙山(しょざん)さんとその弟子たち。「使ってできた傷が美しく感じられる。やぶれたジーンズと同じく使い込んだ分、それが魅力になる」「全26工程のうち19工程が下地作り。下地をしっかり作るので丈夫なんです」など特徴の解説に、子どもたちはペンを走らせていた。また、オークションで1億円以上の値が付いた物もあると聞くと、驚きの表情を見せていた。
次に、朱うるしを椀の端から縦横に塗り重ね、最後にフチを塗る工程を体験。人毛でできたはけで、定盤(じょうばん)と呼ばれるパレットにうるしを出し、はけ目がきれいに出るように注意しながら、中世に一番格が高い色だった赤を丁寧に塗った。「なかなかうまいなあ」と塗り終えた椀をまじまじと眺め、みんなに見せる子もいた。
3組の神谷聡佑くんは「工程がたくさんあり、苦労していることに驚きました。はけが重く、きれいに塗るのが難しかった」。上野ありささんは「はけ目や傷がきれいなのが根来塗の特徴だと知りました。下から塗るなど、塗り方が決まっているのでとまどったけれど上手にできた」と喜んでいた。
池ノ上さんは「地元に根来塗という長い歴史を持つものがあることを知り、さらにその制作を体験したことで、自分自身や故郷への自信につなげてほしい」と語った。
東山東小 たこで風と友達に
外で遊ぶ機会にたこ揚げをと1月31日、東山東小学校がたこ作り教室を開催した。教えたのは小学校教員時代に授業で取り入れていた稲垣紀子さん、堀憲子さん姉妹。稲垣さんは「たこ作りにかかわり50年ほど。洋だこは作りやすく、揚げやすいのでオススメ」と話す。
5、6年は「宇宙くらげ」と呼ばれる洋だこを製作した。ビニール袋に竹ひごをテープで固定。裏側に三角形の飛行安定板を取り付けた。6年の田村淑乃(よしの)さんは「竹ひごの角を合わせるのが難しい」と真顔で修正。飛行安定板を反対側に付けてしまった5年の橋本康生くんは「テープなので簡単に外れて、付け直せました」。
1、2年が作ったのは「グニャグニャだこ」。風の方向を考えながらグラウンドを走り回った。1年の上野永人くんは「風の力を利用すると、雲の近くまで飛んでいった」、池田笑累(える)さんも「糸を持って走って飛んでから立ち止まると、風でゆらゆらした」と笑顔を見せた。
稲垣さんは「冬の風と友達になり、自然の中で遊ぶ良い機会。今の子はたこ揚げに慣れていないが、大喜びでやってくれる」と目を細めていた。
写真=(宮小)職人の指導でうるし塗りに挑戦した
写真=(東山東小)ビニール袋や竹ひごを駆使してたこ作りを体験
(ニュース和歌山より。2017年2月11日更新)