名勝和歌の浦玉津島保存会は3月14日、『文化財担当者と学ぶ名勝和歌の浦』を刊行した。行政の文化財担当者を中心に和歌の浦とゆかり深い14人が多様な視点から魅力を解説。同会結成5周年を記念した出版で、同会は「名勝和歌の浦を知る決定版」と語る。

 和歌の浦の名勝指定を受け結成された同会は、2013年9月から定期的に、行政の文化財担当者に和歌の浦を語ってもらう講演会を玉津島神社で開催した。これが「新たな発見があった」「価値が分かった」と好評で、14人の講演内容を原稿にし、1冊にまとめた。

 「名勝和歌の浦の特徴と価値」「考古学からみた和歌の浦の世界」など和歌山県文化遺産課の担当者による論文はじめ、万葉歌と現在の風景を照らし合わせた近畿大学名誉教授の村瀬憲夫さん「神代よりしかぞ尊き玉津島山」、絵画史料から景観の変遷を追った和歌山市立博物館館長の額田雅裕さん「和歌浦の風景とその移り変わり」、豊富な写真で豊かな草花を紹介する和歌山県立自然博物館学芸員の内藤麻子さん「名勝和歌の浦の植生と植物」など、専門の立場から歴史や風土を読み解いている。

 同会の渋谷高秀事務局長は「和歌の浦の歴史をより深く知るための視点がたくさん得られます」と強調する。

 A4判、130㌻。1080円。和歌山市和歌浦中の松木書店で販売。渋谷さん(073・447・2660)。