和歌山市西庄の西脇支所、入ってすぐのスペースに約2500冊の本がずらり。岩﨑哲支所長の発案で2月に開設した地域のミニ図書室だ。「各地区にある支所は、生涯学習の場となる可能性を秘めていると思います。地域の皆さんが交流する中心地になれば」と目を輝かせる。

 並ぶ本の大半は、岩﨑支所長の亡くなった義父が集めたもの。「段ボールに入れ、倉庫に眠ったままではもったいない」と今年に入り、少しずつ並べ始めた。推理小説を中心に、歴史小説、古典文学などがそろう。地域の人なら、名前と住所、電話番号、冊数を書くだけで借りられる。

 PRは特にしていないが、口コミで広がり、2月に5人だった利用者は、4月以降は毎月約20人に。友人に教わり、6月から利用する70代女性は「支所に行くのは年に1回、元気70パス(※)をもらう時ぐらいでしたが、すでに4回ほど借りています。身近な支所に図書コーナーがあるのはありがたい」。一方、読まなくなった自宅の本を「活用して」と寄贈する住民もいる。

 岩﨑支所長は「一人暮らしのお年寄りが増えていますが、ここに本を借りに来て、おしゃべりして帰るだけでもいい。要介護認定率が全国1位の和歌山で、将来的に支所を65歳以上の人が楽しく学べる〝楽校〟に、さらに介護予防の拠点にと思い描いています。そのためにまず、立ち寄りやすい場所にしていきたい」と話している。

 ※元気70パス…市が70歳以上に配布する券。市内の路線バスを100円、市営駐車場や公衆浴場を割安で利用できる。

写真=「支所に入りやすい仕掛けです」と岩﨑支所長

(ニュース和歌山/2017年9月13日更新)