和歌山市相坂の東池で水草の一種、ホテイアオイが増殖し、水面をほぼ埋め尽くしている。次々と花を咲かせる姿に喜びの声が聞かれるが、農業関係者は「水路が詰まる原因になる」と頭を抱えている。
東池でホテイアオイ大繁殖
南米原産のホテイアオイは水面に浮かぶ水草で、夏から秋にかけて青紫の花をつける。観賞用として日本に持ち込まれたが、繁殖力が強く、池や湖の水中に差し込む光を妨げて生態系を乱すため、環境省は要注意外来生物に指定している。
海南市との市境近くにある東池は5万4000平方㍍あり、周辺5地区の田畑で使う農業用水をまかなう。ホテイアオイは7月ごろから花をつけ始め、池のそばにあり、認知症者らが暮らすグループホーム「あいの里 悠々」では、利用者がベランダから観賞する。スタッフの東山ゆかりさんは「10年以上見てきましたが一面に広がったのは去年と今年だけ。認知症で普段ほとんど表情を変えない人も喜んで見ています」と話す。
ただ、農業関係者からは懸念の声が上がる。冬になると枯れたホテイアオイが沈み、繊維質が池の底にたまる。東池水利組合の谷村順啓代表は「今年、池から水をくみ上げる際、ポンプを詰まらせて大変でした」と振り返る。
県立自然博物館の内藤麻子学芸員は「今年の夏は晴れが多く、ホテイアオイにとって気象条件が良かったため大繁殖したのでは」とみている。
写真=水面を覆うホテイアオイを眺める悠々の利用者ら
(ニュース和歌山/2017年9月16日更新)